くるりの曲はよく口ずさむ。「ブレーメン」「三日月」「真昼の人魚」「砂の星」。どうやら自分の体には三拍子が馴染むんだなと気付いた。そしてこの曲もそうだった。
「虹」は屈指の名曲だ。昔話のような語り口、目蓋に滲む情景、アウトロのうねるギターが染みる。この雰囲気をくるり以外に誰が作れるだろうか。
たとえばこの曲に故郷を思い浮べるかと言われれば、そんなことはない。しかし、明治や大正に書かれた古豪の文学作品ではないかと思えるほど、凛として厳かな、それでいて土臭い、幻想の懐かしさを覚えてしまう。思い出に重なるのではない、心に重なるのだ。
カップリング「ハロースワロー」もまた然り。レトロなメロディーラインの奇妙なアルペジオが琴線に触れ、テンポに翻弄され、ストリングスに抱かれ、堕ちていく。
世間ではわかりやすい言葉ばかり並べ、涙を最大公約数で括っていくしょーもない歌が往々にしてヒットしている。そんなものに感動なんて言葉を使うのは勿体ない。
ヒット曲を捨てよ。くるりを聴け。さすれば与えられん。唯一無二の感動が。