今までの作品からさらに一歩踏み込んだ内容。
浅野作品は大体「日常に辟易〜日常から離脱〜ハプニング〜日常への帰還」がテーマになっていて、「ダルい毎日だけど、目先を変えればそんな悪くないよ、っていうかシンドイのはアンタだけじゃないんだよ」という納得を与えてくれる。
でも本作のメッセージは違っていて、積極的に日常への帰還が説かれるわけじゃない。ラストに「君の人生の行く先は、君が決めていいんだよ」という台詞があるけれど、似たような種類の言葉を吐く人のほとんどは「人生の行く先」を「社会」だといつのまにか想定していると思う。でも浅野はきっと「(死を含む)社会の外」も「行く先」の視野に入れているんじゃないかな。
「すべてはあなた次第よ」と浅野は言う。ただ生きることも、社会にうまく適応することも、ひきこもることも、そして死ぬことも。すべて自由。でもその結果は自分で引き受けないきゃいけない。人のせいにしちゃいけない。
表の帯には「卑怯者の君へ、怠け者の君へ、嘘つきの君へ、臆病者の君へ」とあり、裏には「強い意志を持ちな。もっともっと強い意志を」とある。世界がどんなに不条理でも、それをどう受け止め、何を選択するかはお前が決めることだ――。
「いつまでもお前の寝たふりが通用すると思うなよ。」
最後の台詞が頭から離れない。