鯰江光二さんの虹色にきらめく優しいイラストのイメージ通りのファンタジー集です。
虹のまちに住んでいるのは、ごく普通の人たちだけれど、そこで起きるできごとは、何かしら魔法がかっていたり、とてもロマンチックだったり。
うんと若いときだったら、たぶん純然たるファンタジーとして楽しんでいたと思うのですが、今読むと私が住んでいるこの世界でも、ここに描かれているような素敵なことが起きているのだという気がします。ほとんどは知ることがないまま過ぎ去り、ほんのわずかなことだけを自分で体験するのですが。
そしてそういうとき、そのことに対して目が開かれていれば気づくことができるし、そうでなければ永遠にわからないかも知れない。
ここに描かれている物語たちは、そうしたできごとに対する目を開かせてくれる気がします。
それから、以前体も心も疲弊して半ば壊れていたときのことを思い出し、あのときこの本が読めていたなら、どんなにか癒されただろうと思いました。
ただ傷をいたわるのではなく、体の底から静かに生命力をみなぎらせてくれるタイプの癒しです。時間がかかるので、あとにならないとわからないほどのスピードで。
小原孝さんの演奏するウィリアム・ギロックの曲は本当に美しいものでした。
よくある当たり障りがなく、そつのない小さくパーフェクトなクラシックの演奏とはまったく違っていて、現実の自然の綺麗で恵み深いばかりでない、ダイナミックな力や意表をついた展開などを連想しました。
CDをかけなくても心の中でそのまま再生できるくらいに聴きこみたいです。