「虫眼」とは、虫の身体の見逃してしまうくらい微小な特徴を目ざとく見つけ、それに感動できるセンスを持っている人のことである。宮崎は、その「虫眼」こそ、養老の自由な発想の源だと指摘する。2人は、『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』などの宮崎作品や自然と人間とのかかわりあい、そして若者や子どもをめぐる現状についてざっくばらんに語りあっていて、とっつきにくい話題も身近なことのように感じられる。
冒頭で「養老さんと話してぼくが思ったこと」と題して宮崎が描き下ろしている、22ページにも及ぶカラー漫画が、濃密で刺激的だ。ここでは、老若男女の誰もが「隠された自分の感覚や能力を発見できる」町の創設を、「養老天命反転地」をデザインした荒川修作とともに提唱している。とくに、保育園や幼稚園を中心にして町づくりがなされているところが、子どもたちに関心を注いで映画作りをしてきた宮崎らしい発想である。巻末には、養老の「見えない時代を生き抜く―― 宮崎アニメ私論」が収められている。宮崎との対談を受けての、日本人や日本文化の「都市化・脳化」にたいする警告が強く発せられている。
宮崎と養老は、格別に親しい間柄ではないという。しかしお互いに一目置いているのが行間からうかがえる。その距離のとりかたが、2人のやりとりに適度な緊張感を与えている。(文月 達) --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
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最近で「遊ぶ」といえばパソコン、ネット、オンラインゲーム、ビデオ、アニメ。そういったバーチャルなものにばかり囲まれ、育って、仕事に憧れ「僕は将来アニメーターになりたい」等といってもムチャです。
なにせ、「虫眼」という知恵がない。「虫眼」がないから、細かい動きを把握できない、知恵に基づいた動きや色の想像ができない。
監督自身の持つ「アニ眼」を通して個性化教育、利便性だけを追求し、情報が氾濫した結果、ある程度「虫は虫、鳥は鳥」といったどんぶり勘定的なもので判別していかなければ、情報の整理が追いつかない時代になってしまった。それが逆に「1つの事柄についてよく考える」という大事な能力を退化させている原因だという事を記述した本書は、これら虫眼の大事さを大変わかりやすい書き方で記しています。
宮崎アニメファンならずとも、何かのプロを目指している人にぜひおすすめしたいと思います。
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