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虞美人草 (新潮文庫)
 
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虞美人草 (新潮文庫) [文庫]

夏目 漱石
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

明治四十三年,朝日新聞に入社した漱石が職業作家として書いた第一作.我意と虚栄をつらぬくためには全てを犠牲にして悔ゆることを知らぬ女藤尾に超俗の哲学者甲野,道義の人宗近らを配してこのヒロインの自滅の悲劇を絢爛たる文体で描く.漱石は俳句を一句々々連らねていくように文章に苦心したという. (解説・注 桶谷秀昭) --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

愛されることをのみ要求して愛することを知らず、我執と虚栄にむしばまれ心おごれる麗人藤尾の、ついに一切を失って自ら滅びゆくという悲劇的な姿を描く。厳粛な理想主義的精神を強調した長篇小説で、その絢爛たる文体と整然たる劇的構成とが相まって、漱石の文学的地位を決定的にした。明治40年作。 --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 416ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1951/10)
  • 言語 日本語, 不明
  • ISBN-10: 4101010102
  • ISBN-13: 978-4101010106
  • 発売日: 1951/10
  • 商品の寸法: 15.6 x 11 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (19件のカスタマーレビュー)
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19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
才気溢れる女性藤尾、その兄で哲学者の甲野さん、外交官浪人中の宗近くん、その妹糸子、将来を嘱望される小野、小野の恩師の娘小夜子の6人を中心に話は展開します。

宗近くんと小野は、ともに藤尾に対して結婚を申し込もうと考えています。藤尾は小野のことを憎からず、と思っていますが、その才覚ゆえに素直にはなれません。甲野さんと糸子も、お互いが気になっています。一方小夜子は父とともに、小野と結婚するため京都から上京してきます。藤尾に翻弄されている小野は優柔不断で・・・。

近代人の代表として描かれる藤尾、昔ながらの道理の代表として描かれる小夜子、そしてその間で揺れ動く小野。当時随一の近代人だった漱石による近代批判・問題意識が、この作品でも読み取れます。文明の発達はいろいろなことに気を紛らわし「生か死か」の選択を先延ばしすることを可能にしているが、いつか必ずツケは払うことになる、そんなメッセージを読み取りました。

作家として歩み始めた漱石の、初の新聞連載小説ということもあって、漱石の意気込みが伝わってきます。和漢洋すべてにおいて教養の深い漱石の筆致は、やや難解で読みにくい部分もありますが、中盤にストーリーが動き出してからは、一気に読めます。登場人物の会話のやり取りも素晴らしく、その内容の深さはいまだ色褪せていません。

このレビューは参考になりましたか?
12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
この本は、評価が非常に難しいんですよね。
実は漱石の中で何度も読み返すのが、虞美人草と「それから」。

で、虞美人草ですが、ストーリーというか、展開というか、これ漱石じゃなかったらもっと辛口に叩かれていると思う。実際正宗白鳥はかなり辛らつに批評してますが。。
文体の美麗さにごまかされてますが、漱石自身藤尾が大嫌いというようなことを言ってますので、ヒロインに全く愛情がないわけです。悪女、それ以外の側面を全く見ようともしません。
まるで少女漫画の悪役の女の子扱い。
でも人間というのは、一方の片面からだけ描写しても全く面白くないんですよ。
善人と悪人をはっきり分けて、悪人は悪人としてしか描かない。だから内面もなにもかも「悪」としてしか書いていないからすごく底が浅いのです。
藤尾とその母は、悪の側。すべて悪意ある表現で描かれ、しかもそれがあまりに単純なんですね。
かたや甲野、宗近、その妹、小夜は善を代表して悪意のない存在として描かれる。

主人公である小野さんが、都会で学問によって世に出ようとして、それを支援してくれる財力の象徴として藤尾に引かれ、藤尾は藤尾で人間の本質を理解できないバカなので、小野さんの野心もなにも理解できず、ただ「学者として有望。詩的である」と勘違いして小野さんを婿にとろうとする。
まぁ、ここで二人の利害が一致するので、どうぞ一緒になってくださいなのだが、小野さんは貧しい出自で大学まで行けたのは恩師のお世話によるもの。で、京都にいる恩師の一人娘である小夜は必然小野さんと結婚するものだと流れで決まっていて、その過去の約束に苦しめられる、でも悪いけどやはり藤尾がいいや、と逡巡しながらも小夜を見捨てるが、あっさりと宗近くんの説得で改心する。
・・・・
その改心もいきなり唐突なんですよ。宗近くんがたずねてきて、なにやら講釈をたれるともう「はい、ごめんなさい。」ですからね。
もちろん小野さんも苦しんでいて、小夜を見捨てたことを後悔してる描写もあるんですけど、浅い。
そして、最後にいたっては藤尾が突然死!!
ホントにありえない突然死なわけです。

藤尾は悪魔としてみなしているのでしょう、一切の救済なしで死亡させている。

小野さんの改心と、藤尾の死の唐突さは、新人作家だったら罵倒ものの展開でした。

と、読み返すたびに、呆れるくらい粗がたくさんあるんですけど。
それでも、私はこの小説が好きです。
読んで、やはり胸にガツンと来るものがあります。

漱石は会話文というか、「 」付きの台詞が凄く上手い。
甲野さんの独白、宗近くんの甲野さんへの談判、こんなに虞美人草批判しながらも読み返すと涙出るんです。

夏目漱石の虞美人草はある部分は「駄作」です。
でも、確かに心に響きます。その響いた部分があまりにも深いので、一生手元においておこうと思わせる確かな魅力が存在している本です。

流麗な文体がとっつきにくいと言われますが、まぁその辺は流し読みでも全然かまいません。
このレビューは参考になりましたか?
7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
明治43年(1910年)に発表された、夏目漱石の第一作目の長編小説です。甲野藤尾、甲野欽吾(藤尾の兄)、宗近一、宗近糸子(一の妹)といった、思考や行動の様式を異にする人物達を巡って物語は展開されます。その中心となるのは、発表当時では稀であったであろう、行動において自らの信念を貫く藤尾という女性です。しかし彼女は、自らの信念と周囲との軋轢の結果であるかのような最期を迎えることになります。漱石が藤尾を女性としてどのように考えていたかについての議論が多く見られますが、それはこの作品の文学的価値を見誤る危険性を秘めているのではないでしょうか。
第一作目の故か、文章の隅々に漱石の意欲と苦心が見られます。それは、過剰なまでに装飾された文体、冗長に過ぎる程の人物の描写に現れています。発表時には、こういったことに対して、藤尾という女性に対する反発と共に批判が少なくなかったようです。しかし、『明暗』に至るまでの漱石の作品に接することができる現在では、終生作家が抱き続けることになるテーマと、徐々に洗練されていく文体を、この原石の中に見て取ることができます。そのように考えると、この作品を読むことは、極めて興味深い体験となります。
この作品を読み終えて感じたことは、漱石が残した大きな文学遺産が受け継がれていないのではないかという不安です。現代の日本文学においては、一人の人物の価値観のみが強調され、他者のそれはその周辺を漂っているだけのように見えます。複数の人物の価値観の相克は文学の非常に重要な要素の一つであり、漱石の多くの作品にもそれが表れています。イギリスの現代作家、日本でも著名なグレアム・スウィフト、イアン・マキューアン、カズオ・イシグロなどが、自国の文学遺産を受け継ぎながら新たな文学を創り出している状況とつい比較してしまうのです。
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