宿敵タケル族との最終決戦を終えたテラナーに休む間もなく襲い掛かる新たなる災厄を描く大長編SFスペース・オペラ宇宙英雄ローダン・シリーズ第250巻。本国ドイツでの記念すべき通算500巻目を飾る執筆者は若手のクナイフェルとシェール最後の作品です。ここまでの作者別登場回数順位はダールトン115、フォルツ102、マール77、エーヴェルス76、シェール51、ブラント38、クナイフェル34、ショルス4、シェパード3となります。タケル族指揮官ヴァスカロが作動させた最終ブロック回路は原母に己の分身である34万体の貯蔵庫を太陽系へと集結させる命令を出させる。
『冥王星軌道の決戦』ハンス・クナイフェル著:オヴァロンは原母が自滅すれば細胞である貯蔵庫もすべて自爆すると断言する。やがて時間切れとなり原母は冥王星近傍で基幹プログラムに従い先行の貯蔵庫を含む全47万体を合体させ始める。『虚無より来たる』K.H.シェール著:タケル族との戦いを終えた旗艦《マルコ・ポーロ》は故郷銀河への帰途についた。だが帰途途上四十万もの謎の宇宙飛行物体が出現し、奇妙なエネルギー・インパルスを放射する。やがて放射を浴びた艦内乗員に精神退行による痴呆化が発症し艦内装備を次々に破壊し始める。
前半の幕間劇として現人類のあとを襲う高次段階人類ともいうべき存在ホモ・スペリオルが登場します。彼らは自分達を突然変異種とは考えておらずミュータントより上位に位置する優性種と見なしています。興味深い彼らが絡む今後の展開に期待しましょう。本巻の翻訳者、五十嵐洋氏のあとがきは通算五百巻の裏話です。まず本書で久々に復活した著者のシェール氏が長らく病床にあり本編が最後の作品となった事を紹介し、松谷先生が生前この巻をもって引退すると表明されており編集部では二五〇巻以後の準備を数年前から進めていたという秘話を明かされています。