本書は京都産業大学の創設について書かれたものです。主人公の千田は鳥取の倉吉北高校を創設した小野良介で、初代学長の天野は天文学者の荒木俊馬がモデルとなっています。京都産業大学は現在では多くの学生を抱える総合大学ですが、その大学の産みの苦しみが非常にリアルに描かれています。そして夢でしかなかった大学か形となって現われて来るに従って出てくる人間のエゴや欲望についても。
本書を読んだあと京都産業大学のHPをみて愕然としたのは、創設者「荒木俊馬」についての功績や人物紹介に多くのページが割かれていることです。しかしその中に小野良介という文字は全く出てきません。「虚構」という文字が示すように、本書によってはじめて京産大の本当の歴史が明るみに出たのではないでしょうか。