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虚栄の肖像 (文春文庫)
 
 

虚栄の肖像 (文春文庫) [文庫]

北森 鴻
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

花師にして絵画修復師の佐月恭壱。二つの顔を持つ佐月の元に、肖像画修復の報酬が古備前の甕という奇妙な依頼が舞い込む表題作他、藤田嗣治の修復をめぐり昔の恋人に再会する「葡萄と乳房」、女体の緊縛画を描いた謎の絵師を追う「秘画師遺聞」の全三篇を収録。絵画修復に纏わる謎を解く極上の美術ミステリー。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

北森 鴻
1961年、山口県生まれ。駒澤大学文学部卒。編集プロダクション勤務を経て、執筆活動に入る。95年、「狂乱廿四孝」で第6回鮎川哲也賞受賞。99年、「花の下にて春死なむ」で第52回日本推理作家協会賞を受賞。2010年1月25日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 274ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2010/9/3)
  • ISBN-10: 4167773961
  • ISBN-13: 978-4167773960
  • 発売日: 2010/9/3
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 179,072位 (本のベストセラーを見る)
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12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 東の風 トップ100レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
 『深淵のガランス』(2006年3月 第一刷発行)に続き、花師と絵画修復師のふたつの顔を持つ男、佐月恭壱(さつき きょういち)が活躍する連作短篇シリーズ第2弾。「虚栄の肖像」「葡萄と乳房」「秘画師遺聞」の三篇を収めています。

 暗い翳を身にまとう主人公・佐月に持ちかけられる絵画修復の依頼。朱大人(しゅたいじん)と朱明花(しゅ めいか)の親娘、善ジイこと前畑善次朗(まえはた ぜんじろう)、若槻伸吾(わかつき しんご)、さらに冬の狐を名乗る女旗師など、謎めいた雰囲気を帯びた脇役たちが佐月の活動をサポートするところなどは、前作同様。
 しかし、登場人物の顔見世ということもあり、ややせわしなく分かりづらかった前作に比べ、本書では話に落ち着きが生まれ、すっと心に馴染むものを感じましたね。前作よりも親しみやすかったです。

 連作短篇ならではのつながりがあるので、この順番どおりに読んでいくのが吉。「葡萄と乳房」「秘画師遺聞」では、佐月にとって大切な人物が登場し、その人への佐月の想いが深化するところに話の深みもあるので、この読む順番は崩さないようにしたいですね。

 ところで、本日10月4日付けの朝日新聞朝刊の第34面(社会欄)。「ゴッホの黒猫 やっぱりいた  X線で解析、発見」の見出しの記事が、目にとまりました。なんだかとっても、北森 鴻のミステリの匂いがするなあと。あるいは、細野不ニ彦の漫画『ギャラリーフェイク』シリーズの匂いが・・・。
 名画の裏に隠された別の顔を見つけるサプライズ。それは、北森鴻の「絵画修復師」シリーズのモチーフでもありますね。スリリングですねぇ。ぞくぞくさせられます。
このレビューは参考になりましたか?
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yass
形式:文庫|Amazonが確認した購入
作家の急逝により、もうこれ以上はないのだ。
それがあまりに寂しすぎる。
緻密な取材と限りない想像で描かれた世界が終わる。
無念としかいいようがない。
それにしても猟奇というイメージが根底に流れている気がするのは気のせいだろうか?
このレビューは参考になりましたか?
By トップ500レビュアー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
北森鴻の世界の住人であるならわかる。
「わたしはあらゆることについて、正当な評価を下したことで今の地位を得た」朱大人の言葉である。
アイリッシュウィスキーを飲みながら読むと更に調子が上がる。
朱大人の娘朱明花(父親はあくまで娘を溺愛し、娘は父親を疎みつつも都合のよいところだけは利用しようとする。それがまた父親にとっては嬉しいらしい)、主人公佐月恭壱とその相棒善ジィの会話は知恵の会話である。知識ではなく。
そして、それは次の会話でもわかる。
佐月と善ジィの視線が一致した。二人が同じことを考えているのは明らかだった。そして、朱明花の洞察力がそれを見逃さないこともまた明らかである証拠に、「二人して、なに。よからぬことでも考えているの。」と言う。
ほんの少し読んだだけですんなりこの世界に入り込める。
この三篇は、キャラクターの魅力よりはミステリーの面白さが全面にでている。
しかし「葡萄と乳房」には佐月と同級生であった倉科由美子との痛切で哀切な別れの会話が描かれているし、その続編「秘画師遺聞」には由美子の画家としての凄み、それは幽明相隔てることになった佐月とせめて絵の中で生き、年を重ねていつかともに朽ちたいという願いが鋭く描かれている。
いづれも、好事家と呼ばれている人たちの奇妙で、強欲で失敗だらけの生態であり、もう一方のそれを提供する同じ感性を持つ人間と感動を分かち合いたいとする業を極めた職人とでも謂うべき人たちの凄みである。
2010年1月25日に著者死ス。残念なことだ。
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