本書は新興大国ロシアの影を描いた秀逸なルポだ。
プーチン政権による出稼ぎ労働者への門戸開放の裏で進む搾取システムの確立。警察や税関、政府機関にくわえて、市民までが参加する搾取構造だから、誰からも反対の声は出ない。唯一異を唱えるのがスキンヘッドだが、当然彼らの主張は支持を得られず、ロシアは外国人に対して慈悲的に搾取を続けられる。
ロシア人自ら、自分たちが3流の労働者であり、自分たちだけではもはや国を維持できないと認めていることには苦笑。割り切れれば、外国人を際限なく受け入れるのもアリだろう。搾取は彼らとの労働市場における競合を避け、ロシア人を富ませるための合理的な手段なのだ。
本書を読んで感じたことは、ロシアは西欧文明とはまったく異質であること、そして今後も、その溝が埋まることは永遠にないだろうということだ。