ドッグトレーナー古銭正彦氏の半生と彼の人生に大きな影響を与えた一匹の犬のノンフィクション。
迷いながら、ツテもないままアメリカへ飛び込み自分の道を見つけた一人の男性を軸にしています。
虐待という題名からなかなか手に取りにくい方も多いかと思いますが、怖い描写や悲しい話はほとんどなく、男性・棒状のものに強い恐怖と攻撃性をみせるベティが深い愛情と適切なトレーニングによって徐々に心を開き、強い絆で結ばれてゆく過程の心情描写は非常に繊細です。「犬たちをおくる日」などの犬に関する書籍も多い今西乃子ならではの暖かい眼差しを感じました。
犬との信頼関係の構築と人間としての成長という2つのテーマががうまく組み合っており、児童書ながら子供だましな部分はなく、希望を感じる爽やかな読後。とても質の良いノンフィクション。犬のしつけへの考え方、犬と信頼関係を築くプロの視点のヒントが随所にちりばめられており、やり直せない犬はいないという著者と主人公の信念が素敵な相乗効果を生んだようです。
児童書という枠にとらわれず、ぜひ多くの人に読んでいただきたい本です。