込み入った事情があって舞台に立てなくなっていた女形蘭陽と
まだ世に名を知られていなかった春朗(葛飾北斎)の二人が身近に起きた怪異や事件を探る短編集。
主役に夏舞台の話が持ち上がり大喜びしていた蘭陽でしたが、実は今まで舞台にたてなかった理由は深刻なもので……という表題作もいれて12の短編が載っています。
きりりとした美形の女形蘭陽が得意のとんぼをきって悪人をたたきのめしたり、
すいかをかぶった子どものスイカ泥棒を助けてやったり、
大活躍を見せてくれます。
なかでも面白かったのが「階段を逆立ちして降りてくる娘の幽霊」の掛け軸のお話『さかだち幽霊』
ぞっとする絵の描写から意外な展開そして涙の終わりまで、短編にするのが惜しい素材がギュッと詰まっていて読み応えがあります。
蘭陽のサバサバした性格が気持ちよい短編集です。