日本初、アラビア語の文献を基にパレスチナの姿を映し出した傑作。
パレスチナ情勢を、「中東紛争」や「アラブ・イスラエル問題」として、国際関係・国際政治・外交の視点から語る文献が、近年増えつつあるように思う。
しかし、それらはどれも英語やフランス語の記録を基に、政治家や軍人、外交官の目でみたものでしかない。それらは、パレスチナ情勢を大きく左右する「民衆」というアクターの存在を無視した「超マクロ史」でしかないのである。
そんな中、パレスチナやその近辺の歴史・情勢を「住民」の視点から綴ったのが本書の特徴。
新聞やポスター、住民の声に数値データを駆使し、ミクロ的視点とマクロ的視点をバランスよく組み合わせ、住民から見たものに出来る限り近い「パレスチナ」を描く。
現地の人々の声が聴こえてきそうな、生命感のある作品である。