藤田嗣治という人は相当器用な画家でしたね。作風は年代毎にガラッと変ります。それは様々な画風を自分の作品に貪欲に取り入れた結果なのですが・・・。性格的にも素直な方なのでしょうね。
「乳白色の肌」と評された自分の作風を確立したエコール・ド・パリ時代の作品に惹かれます。その白の美しさは筆舌に尽くしがたく、透明感は皆を魅了するに値するものでした。その頃に独自の個性が完成したのが如実に分かりますし、晩年パリに戻って宗教画や子供をモティーフにした作品にもその感性の煌きが見て取れました。ポップアートの先駆けのような面白さを秘めた画風もまた新鮮に映りました。卓越した技法の持ち主ですね。
戦時中の軍への協力姿勢が、戦後に批判を浴びたのは知っていました。藤田嗣治の父親が軍医、それも中将格の高官だったという家柄も影響したのは間違いありません。戦争を題材にした作品の画風もモティーフも「乳白色の肌」の画風とは全く違いますが、対象と真摯に向き合っているのは画家の矜持でしょう。
藤田への戦争責任論は、日本人の画家として西欧で一番認められたことに対する当時の画壇における長老達の嫉妬も相当あったと思われます。そのため、世界的な才能を持った画家が二度と日本の地を踏まなかったのは至極残念でなりません。
またどの時代の作品にも「猫」が沢山描かれていますので、猫好きな方にはたまらないと思います。愛情をもって接していたのが窺い知れる所です。