シリーズの最終巻にあたる本書にも、その場しのぎで仕事を先のばししては窮地に陥るマンガ家が、時間を逆行して過去の自分をなじる「昨日のオレは今日の敵」とか、いがみあう父親と息子が互いの体に入れ替わってしまう「親子とりかえばや」などSF的発想豊かな愉快な話が多数収められている。なかでも、映画「南極物語」と「スター・ウォーズ」をパロった「裏町裏通り名画館」は大傑作。視点を180度逆転させた方向から映画のストーリーを語り直したこの作品は、スクリーン上では描かれることのない、ヒーロー、ヒロインたちの背後に広がる世界の奥行きを見せつけ、一面的なものの見方の危険性を教えてくれる。藤子・F・不二雄のこうした作品をもう読めないのが実に残念でならない。