※藤子・F・不二雄大全集の大長編ドラえもん3のレビューです。
2本の作品が収録されています(「のび太のパラレル西遊記」はイラストのみ掲載です)。
「のび太と鉄人兵団」
子供の世界の日常風景から、地球規模の大危機へと変貌していく展開が見事。巨大ロボットもののような形をとりつつも、のび太たちの行動原理にブレが生じることもなく、それが後半に重要な意味を持つことになります。
実は、この作品のクライマックスでは「魔界大冒険」で否定した筈の解決手段を用いています。藤子先生自身、あとがきで冗談めかしつつ自嘲しています。しかしそれがあまり気にならないのは、ヒロインのリルルの存在故でしょう。リルルとのび太たちの交流で得たものが大きかったために、それが失われるせつないラストへと結びついていきます。
「のび太と竜の騎士」
この作品では、過去作で用いられた設定や展開の焼き直しが多く目につきます。ドラえもんファンの方ならば「あれ?これって……?」と気になるところでしょう。
その反面、この作品は大長編随一の異色作ともいえます。何しろ悪役が不在。暴力ではなく説得で争いを解決。そしてドラえもんが主役(!)。
やや短めの作品で盛り上がりに欠けるきらいもありますが、一読の価値はあります。
また、この巻の解説は当時の藤子先生のアシスタントだったたかや健二さんで、作品解説というよりも執筆当時の裏話が読めます。意外な話を知ることができました。