九州島津藩に伝わり、幕末の動乱期に名を馳せた剣術の流派、示現流。その示現流の開祖、東郷重位(とうごう・しげかた 本書では、とうごう・ちゅうい と読み仮名がついています)の生涯を描いた短編と、幕末から明治初期の示現流の使い手の姿を描いた四短編をまとめた作品集。
幕末を舞台にした時代小説によくでてくるので、示現流の名は聞いていましたが、東郷重位のことは名前くらいしか知らずにいたので、その生涯を描いた表題作「薩南示現流」は、示現流を学び、厳しい修行を重ね、薩摩の地に示現流を根付かせて・・・、と、よくある内容ではありますが(このような生涯を送ったのでしょうから、「よくある」はないかな)、とてもおもしろく読めました。
桜田門外の変、寺田屋事件、西南戦争など、幕末から明治初期にかけての大きな事件に係わりあった示現流の使い手の姿を描いた残り四作は、おもしろいのですが、あまりに短すぎるのが残念でした。