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薔薇密室
 
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薔薇密室 [単行本]

皆川 博子
5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

山間の僧院に住まう、1人の男。繰り返される禁断の実験。
物語が歴史を凌駕する。驚愕の書き下ろし長編小説
ドイツ・ポーランド国境に、人知れず建つ古びた僧院。そこは、咲き乱れる薔薇に閉ざされた狂気の世界だった。やがて外界は第二次大戦の波に呑まれ、僧院は接収されるが
現と夢幻のあわいを貫く物語が、歴史をも従えて迸る。待望の書き下ろし。

内容(「BOOK」データベースより)

ドイツ・ポーランド国境に、人知れず建つ古びた僧院。そこは、咲き乱れる薔薇に閉ざされた狂気の世界だった。やがて外界は第二次大戦の波に呑まれ、僧院は接収されるが―。現と夢幻のあわいを貫く物語が、歴史をも従えて迸る。

登録情報

  • 単行本: 557ページ
  • 出版社: 講談社 (2004/9/25)
  • ISBN-10: 4062125641
  • ISBN-13: 978-4062125642
  • 発売日: 2004/9/25
  • 商品の寸法: 18.2 x 13.4 x 4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 128,993位 (本のベストセラーを見る)
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39 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
まず、外界との交流を絶った僧院の中で、薔薇と美青年を融合させる禁断の実験が行われている様を描く「コンラートの手記」が提示される。その後、梅毒スピロヘータの実験材料にされる元男娼と、ドイツに迫害されるポーランド人姉妹の妹の2人が、2度の大戦を背景としたナチの台頭と秘密実験のありようを交代で語る。やがて2人の語り手の人生が「コンラートの手記」をめぐって交錯する。古希を超えて、脅威の筆力である。耽美系の大御所では、谷崎潤一郎も70歳で「鍵」、75歳で「瘋癲老人日記」を著しているが、これほどの長編ではなかった。「死の泉」の冷徹さと比べると、ラストも含めて温かみを感じる。耽美・幻想世界に惹かれる方にお奨めしたいが、557頁と長く幻惑的な作品なので、読む時間をたっぷりとりたい。
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薔薇密室 2005/7/30
形式:単行本
 久しぶりに時間をかけて読んだ作品となりました。第1次世界大戦から第1次世界大戦中のドイツとポーランドを舞台にした、皆川博子氏の幻想的な世界とストーリーにいつの間にかすっかり耽溺してしまった次第です。

 『死の泉』で描かれた死や畸形のモチーフがこの作品の根底にも引き継がれています。今回はヒムラーの秘密の畸形収集所といった設定で描かれた薔薇僧院を中心に、戦時期のポーランドの様子や「薔薇の若者」(ローゼン・ユングリング)の秘密実験の様子が生々しく描かれています。

 「不幸な人間は、物語を必要とする。」という言葉が示すように、各登場人物の数奇な物語が交錯していく様は、まるでその人物達が影の操り師に操られているような印象をもたらします。また精緻な叙述トリックのように入り組んだ構成は、まるで自分が今この本を読んでいるという行為が本当に現実なのか疑問を持ってしまうといった錯覚を覚えるほど。

 『薔薇密室』というタイトルでミステリーかと思わず手にしてしまった私ですが、内容そのものはナチズムの狂気と黴毒による狂気の駆け合せをモチーフとした歴史小説の形を取っています。ただその神秘性と最後に明らかになる「真実」は歴史小説でありながらミステリーであるともいえます。久々に出会えた「中毒性」を持った素晴らしい作品でした。

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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
語りのチカラ 2005/12/13
形式:単行本
逃げ込んだ僧院で、瀕死の想い人を生き延びさせたいという願望から僧院の主の博士の実験に協力する男。その倒錯した語り口調は一旦途切れ、語り手は第一次大戦下のポーランドの少女に移る。日に日に悪化する戦況の中、彼女はある少年と出会う。ポーランド人であるがゆえにドイツから不当な扱いを受け、次第に彼女の家族も切迫してゆき…。

唐突に中断され、挿入されるエピソードの数々。

一体語り手は誰なのか、どこまでが創作なのか、「真実」はどこにあるのか?

史実と巧妙に絡められて紡がれる物語は思いがけない方向に向かう。

そして作品全体を貫くのが、「物語を必要とするのは不幸な人間である」という言葉。

歴史小説でありながらそうではない、と感じました。そして、もっと美に傾倒したような物語だと思っていた予想も、良い方向に裏切られました。

そして物語というものの持つ魔力にとりつかれた読者は、文字通り作者の手の平の上で踊らされる他はなく、その構成の妙といったら見事というしかなく。

私が今更言うようなことではないですが、本当にすごい作家さんなんだなと思いました。
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