この映画、恥ずかしながら、20年くらいの間に、VHS、TV放送、DVDとトライして、実は5度目位の鑑賞で全編見続けることができた。その後は、もちろんお気に入りの映画の一つである。
それだけ、私にとっては、最初は少し難解でとっつきにくかった独特の世界観をもつ作品。原作を読んでいないので、それもお恥ずかしいが、たぶん映像になっているものの方が解りやすいような気がして、まだ目を通していない。
中世の暗黒部分の歴史に触れるということ。それだけでもう、知ってはいけない、見てはいけないような気にさせられた。
14世紀初頭の北イタリアの修道院で行われる会議のために、ウィリアム修道士(S・コネリー)と彼の弟子のアドソ(C・スレーター)が訪れる。その修道院で連続殺人が起こり、ウィリアム達が謎を解いていくミステリー。
おどろおどろしい、中世の雰囲気が濃厚に描かれる。文書館などのセットを筆頭に美術、小道具に至るまで、こだわりぬいて作られていて素晴らしい。アノー監督のリアルで少し残酷で退廃的で官能的な映像美に触れた。
そして、何よりS・コネリーの重厚だが、知的でウィットに富んだ会話が魅力的で、弟子を優しく真理の道へと導いていく演技がいい。
「宗教」とは何か?戒律は誰がつくり、誰のためのものなのか?を考えさせられる。
異端とされる者たちへの残虐きわまりない刑は、本来は人間として許されないことである。教会では食べ物にも困らない生活をしているのに、村人は修道士達が捨てたごみを拾い食らいつく。
アドソが村の女と、肉体関係を結ぶが、そのことに関してのウィリアムの反応が、実に人間味にあふれていい場面だな、と思った。
ラストも、温かな慈愛の精神と救いが余韻に残る。