天野月になって確実にこの人は世界を広げたと思える一枚。
M2は天野月子時代の十八番といってもいいような安心して聴ける1曲。キャッチーな
メロディラインや動物に喩える歌詞も健在です。
シングル化したM3,M4についてはリズム族をはっきりさせて聴きやすくした感じ。
シングルを買った身としては、これぐらい明確な違いを付けてくれた方がありがたいです。
M5,M6についても捨て曲感が全くない。M6に関しては女性の恋心をかわいらしくデフォした
「CHELSEA」の産物だと言えそう。M5は歌詞に毒があり好きです。
特筆すべきは「薔薇のように」と「真珠」。表題作を2曲にするという珍しくも
難しい挑戦については見事に達成されたと思いました。
「薔薇のように」
デビュー作「箱庭」を思い出させるロックナンバー。メロディについては
Aメロ、Bメロ、サビとかなり展開が急で、聴いてておもしろいです。
歌詞も成熟した内容で、曲としては「薔薇のように」の方が深いと思います。
「真珠」
真っ向勝負なミドルバラード。10年目にして直球を投げられるとは思ってもみなかった。
まず声色を変えて歌っています。これを「抑えている」と感じる人もいるかも知れませんが、
個人的にはこの声がすごく響いてきました。歌詞や曲の神秘性も良く、サビ、特に最後の展開は
真珠に光が宿る風景というものが本当に見えそうなぐらいに美しかったです。
今までやってきたことがすべて詰まっています。ロックだけでなく童謡や文学との融合へも時に
歩み寄ったことで培われた個性が「薔薇と真珠」で開花したのだと私は思います。これからの
活動にも一層期待と安心を与えてくれた感動的なアルバムでした。