もちろんガイドブックとして使える体裁になっていますが、蕎麦と蕎麦屋を巡るエッセイ集として読むべきかと。蕎麦好きなら深く頷かざるを得ない珠玉の言葉のオンパレード。ビバルディの流れる気取った店の蕎麦の量に殺意を覚える、苦労して日本からドイツに運んだそば粉1kgの推定末端価格三億円等々。個人的に一番膝を打つ手に力が入ってしまったのは菊地成孔による以下文章。
「遠いところまで電車賃を厭わず、『もっと旨い店』を探してわざわざ喰いに行く。なんてのは身体壊してそうなラーメンハンター諸君がする事であって、蕎麦好きのすることじゃあありません。」
山下洋輔本としてどうなのか、という点については僕なんかより余程書くに適した方がいらっしゃると思いますので、その方にお任せします。