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蓼喰う虫 (新潮文庫)
 
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蓼喰う虫 (新潮文庫) [文庫]

谷崎 潤一郎
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登録情報

  • 文庫: 240ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1951/11/2)
  • ISBN-10: 4101005079
  • ISBN-13: 978-4101005072
  • 発売日: 1951/11/2
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 172,568位 (本のベストセラーを見る)
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10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
蒔絵の提げ重 2008/4/30
By recluse VINE™ メンバー
むずかしい作品でした。導入部から不思議な人間関係が展開されます。ここで繰り広げられる要と美佐子の夫婦関係は、徹頭徹尾、自己決定という態度の選択から、遠くはなれたものです。夫婦としての実体がすでに崩壊していることを両者共に認識しながらも、そしてその結末の近さを認識しながらも、現実は前には進むことはありません。「子供」の存在と近代の合理性の明快さを持ち込む従弟の登場にもかかわらず、最後までこの夫婦関係の破綻が事実へと発展することは明示的には示されていません。要のルイーズとの関係も、アクセサリー以上のインパクトはありません。それと対照されるのが、「美佐子の父」とお久との間のもうひとつの不思議な男女関係です。この男女関係は、親子ほどの年齢差にもかかわらず、前者のような”崩壊”への予感を与えることはありません。そこには要と美佐子の間のような「会話」は存在しません。その関係は細かいディテールの積み重ねによる、雰囲気の提示意外には描写はできません。このディテールとそこでの様々な小道具の使用はもはや現代の日本人にはついていけないものばかりです。人形芝居と人形浄瑠璃の観劇のシーンはその極致です。要と美佐子の父は、両者共に生粋の関西人ではないことが文中に示されており、どちらも作者の分身なのでしょう。というわけで、このディテールの描写はちょっとしつこいほどです。そして、最後の場面は、京都となります。ここでも結末は明示されることなく、この二つの分身は止揚(?)されぬまま、時間の経過による変化のみを暗示しながら、見事な余韻(207から208ページ)を漂わせて締めくくられます。
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2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By dvrm トップ100レビュアー
 この作品を読むと、移り変わっていく途中にある主人公の心境が何よりも物語の焦点・描写の焦点になっていると思えてくる。「痴人の愛」で別れを告げたかのような西洋的な美・西洋的な価値感覚を遠くに見送って、日本的な美に傾倒していく主人公の嗜好と行動が、ゆったりとした速度で語られる。物語の途中で「千一夜物語」を主人公が読んでいるくだりは、村上春樹の小説でよく用いられる手法でもある。西洋ー中東ー日本の心情的な移動が仄めかされている。

 そんな書きぶりからも思ったのだが、この小説は谷崎潤一郎自身の自己言及の作品だろう。「痴人の愛」からこの作品で、西洋的な美や価値感覚の浅薄さを離れ、「春琴抄」以後の諸作品を残した、その道程までのある意味トランジットにあった作家の心情がとても素直に入ってくるように思う。

 終わり方のおぼろげなところ、そこからあの傑作たちが生まれてきたのを空想すると味わい深い。
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1 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
面白いというわけではない。

それでも、谷崎の描き出す世界は、独特の妖しさに満ちている。

ラストは、たまらない。
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