これは単なる蒼井優さんの写真集というだけでなく、
カメラマン高橋ヨーコさんの作品集ともいえるし、
スタイリスト・タンナイミサさんの作品集ともいえるし、
またロシアという国の写真集ともいえる気がする。
それくらい、枠にはまらず、いろいろな角度からみて素敵な写真集だと思います。
第一弾の「トラベル・サンド」もそうですが、
第二弾ロシア編のこちらはさらにその色が強まっている気がします。
でもそれは、蒼井優という一人の女優の成長ともいえるかもしれない。
シベリア鉄道でロシアをすすむうち、食堂車でボルシチを食べるうち、
雪におおわれた車窓からの景色をながめていくうち、
旅人から、ロシアの女の子へと、だんだんと彼女が染まっていく。
鉄道を降りた、地元の人の家の一室で、
まるでそこに暮らしている女の子のように、
その家のテーブルにポツンとあったふわふわのロシアン帽子や、
壁に掛けられた鮮やかな美しいのじゅうたんとおんなじように
そこにたたずむ蒼井優。
ロシアと高橋ヨーコさんというふたつの世界を、蒼井優は、
映画やドラマでみせる演技と同じように、その“世界”で生きている
女の子としてあらわしている気がしました。
純粋に蒼井優さんの写真集としての写真集を期待して購入したひとは、
いつも笑顔の少なさにもしかしたら物足りなさを感じるかもしれない。
「トラベル・サンド」やアイビー・チェンさんの「回転テーブルはむつかしい」のほうが楽しめるかもしれない。
でも、ならべられた紅茶カップや、彼女の写っていないページがあるからこそ、
お互いが引き立てあって、いっそう世界観が増し、
一冊通して見おわったときに、蒼井さんと同じようにロシアを旅した
ような気持ちになります。
雪の中でまっすぐこちらを見る彼女は、東京にいるより何倍も
その白い世界に負けないくらいの透明感をはなっている。
後半の彼女のコメントつきのおまけ写真で、蒼井優本人の旅で感じたこと
や素顔を覗くことができ、それがこの写真集をただのアート的な作品集ではなく、
蒼井優という人の写真集として身近に親しめるものになっていると思います。