完全密室と化した航空機のなかから忽然と消失するひとりの女...。何と言ってもこの導入部のインパクトが最高!また、最後に明かされる
からくりの仕組みにも満足のため息。。
作者の夏樹静子さんは、基本的に新しいネタがないんならミステリーは書かない方が良いと語っている通り、常に新しくて多彩な着想を
展開し続けていますが、その精神は初期傑作の本作でも堂々と存在している。トリックも良い。良いけど、それ以上に人間ドラマが良い。
人間なんちゃらなんて書くとうそ臭くなるが、結局はこの人は男と女を描くのが上手すぎる。両方あってこその人間。時代背景が変われど
この瑞々しい男女の精神性は古臭くならないのが凄い。確乎とした主張がある。それが余韻に繋がる。やりきれないのに美しい。この感覚を
掘り下げさせたらミステリー界随一だ。あとやっぱり、この人の精密部品を組み立てるが如くのプログラミングも驚き。そーゆうとこは
なにより男っぽく、情感の豊かさは女の如く。その要素はこの一作において顕著。男女の出逢いが奇跡を生む。また悲劇を生ずるの。。