1987年、657億円での蒲田駅旧国鉄用地の落札以降、再開発プロジェクトの行き詰まり、国会での証人喚問、経営責任の追及など、バブル崩壊とともに著者の人生は暗転する。しかし、それはすべて「罠」だったというのだ。銀行によるプロジェクトビル完成前の一方的な融資打ち切りと債務不履行の通達、ゼネコンによるビルの不正登記と抵当権設定、両者によるビルの差し押さえ工作と競売。さらに偽造預金を使った不正融資マネーの謀略、政治家秘書を使ったたかり…。
著者はこれらの背後に、銀行、ゼネコン、官僚、政治家が一体となって、桃源社の莫大な利権プロジェクトを奪おうと画策する様子と、桃源社の資産を手に入れようとする銀行の狙いを見いだしていく。自分はその犠牲者であるというのだ。
ときおり感情的に怒りをぶちまけた記述があったり、当時の言葉のやり取りが厳密に再現されたものなのか判然としない点があったりして、ドキュメントの客観性はやや損なわれている。しかし、ここに示された銀行その他の行為には純粋に驚かされる。貸し手責任やプロジェクト・ファイナンスについての著者の考察も重く受けとめられよう。バブル当事者の貴重な証言である。(棚上 勉)
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行政、銀行、デベロッパー。日本の土地問題を構成するさまざま要素が立ちはだかり、著者を翻弄します。そんな時代を「佐佐木」という突き放すような一人称で描き出した文章の合間に時折噴き出す怒りと悲しみを、1000兆円の借金を抱えた、この国の国民は如何に読むべきなのか。昭和ヒトケタの哀感を体現したかのような著者には「よくぞ書いてくれた」と、版元の日経BP社には「よくぞ出してくれた」と申し上げたい。時代の証言として、是非、一読をお奨めします。
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