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蒲団・重右衛門の最後 (新潮文庫)
 
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蒲団・重右衛門の最後 (新潮文庫) [文庫]

田山 花袋
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

蒲団に残るあのひとの匂いが恋しい―赤裸々な内面生活を大胆に告白して、自然主義文学のさきがけとなった記念碑的作品『蒲団』と、歪曲した人間性をもった藤田重右衛門を公然と殺害し、不起訴のうちに葬り去ってしまった信州の閉鎖性の強い村落を描いた『重右衛門の最後』とを収録。その新しい作風と旺盛な好奇心とナイーヴな感受性で若い明治日本の真率な精神の香気を伝える。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

田山 花袋
1871‐1930。栃木県邑楽郡館林町(現・群馬県)に生れる。6歳で父を失い、貧困の中で育つ。1891(明治24)年に尾崎紅葉を訪ね、江見水蔭を知り、彼の指導で小説を書き始める。1907年、女弟子との関係を露骨に告白した『蒲団』が文壇に異常な衝撃を与え、自らの地歩を確実にするとともに、自然主義文学の方向性を決定した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 227ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1952/03)
  • ISBN-10: 4101079013
  • ISBN-13: 978-4101079011
  • 発売日: 1952/03
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.4  レビューをすべて見る (18件のカスタマーレビュー)
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By 無覚 トップ500レビュアー
『蒲団』では、処女性が重視され、独身の男女間のセックスが道徳的な非難の対象になる。これは、いかにも古い。
しかし、これはストーリー上は不可欠だが、作品において、さして重要なポイントではない。
作品の中心は、実る可能性の無い恋に悶々としたりするミッドライフ・クライシスのみっともなさにあり、これは実は今でもさほど変わらない。
(花袋は、同じ1907年に、異なる設定でミッドライフ・クライシスを描き出した、ややどぎつい短篇『少女病』を発表している。これは、花袋の関心が個別的な惑溺の描写だけにはなかったことを示していると思う。)

併録の『重右衛門の最後』は、突き放した叙述から、唐突に終盤の悲憤慷慨調に移り、そのまま終わってしまう。
そのフォームのメチャクチャさから、奔放な性などを描く現代小説の多くが実にお行儀が良いことに、逆に気づかされる。

2篇とも、文章は確かに古いけれども、言葉のイメージ喚起力は豊かである。
文学史の資料と頭から決め付けて読むのはもったいない。
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ミーミルの泉 トップ1000レビュアー
『蒲団・重右衛門の最後』です。表題二作収録。
蒲団は、日本文学史上のターニングポイントとされる有名作品です。その位置づけについては、ここで書く意味も無いのでググってください。
作品としてどうかというと、有名作品なのでストーリーがネタバレしているのですが、普通に面白く読めると思います。ただ、随所で言われている通り、現在ならばこれ以上に洗練された作品は多々あり、記念碑的意味合いが強い、というのも一面真実です。決してつまらないと切り捨てるほどではありませんが。
重右衛門の最後については。まず冒頭がダラダラしてつらかったのですが、全体の約4割くらいのところでようやく、今でいうところの中二病っぽい重右衛門の名前が出てきてから面白くなりました。展開はけっこう怒濤。最後の自然主義部分は説明がくどいのですが。

二作ひっくるめてそれなりに興味深く読めるので★4です。
このレビューは参考になりましたか?
12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
解説がいい! 2010/12/5
福田恒存の解説が秀逸。これを読むだけでも価値のある本。
『蒲団』は、日本の自然主義文学を西洋のそれとは全く違った方向(私小説)へ導いちゃった
当時は衝撃的な作品だった。今読めば
うら若い女弟子とやりたくってしょうがないけどできなかった、所帯持ちの中年作家の煩悶、です。はい。
今これを読んでわらうのは簡単。でも笑っただけで終わりにするのはもったいない。
蒲団は当時は真率な告白と受け止められたようですが、作者に限りなく近い主人公をこれだけ戯画化して描けるのは、書き手に余裕があるからで、主人公の煩悶はかなりうそ臭い。大向こうの受けを狙って書いたのかな、と思うほど。花袋はこの作品を発表しても、あまり恥ずかしくはなかったんじゃないかしらん。深刻な告白めいて、筆遣いはおおらか。読者の覚めた視線を受け入れる風通しのいい間口の広さがある。
むしろこれを単純な捨て身の告白と受け止め、追随した作品が多く著された事の方が、びっくり。
当時の文学青年って、そうとう初心だったのかしら。それとも観念だけで苦悩しているような嘘臭さが、
真似しやすかったのかな。(真似た方は余裕の無い真剣さが信条だったみたいだけど)
ふと思ったのですが、うら若い明治日本は、倫理的にはダブルスタンダードだったのでは。
武家社会の倫理観をそのまま引き継いだ上流階級や都市に住む知識人とは対照的に、
農村では若衆宿があり、夜這いがあり、女の処女性にはさほど重きが措かれていなかった。
花袋は館林出身。国民の大多数だった農民の生活は身近で見て知っているはず。
深刻なポーズの裏にある、ある種おおらかな描写というのは、そうしたことが背景にあるのかな。
もちろんこれは福田先生の論にはありませんけどね。
先生は花袋を芸術家としては認めていないけれど、
「強烈な問題意識の無い、外に向って開かれた明治の文学青年のナイーブな感受性」を、
歴史の流れの中でそれなりに評価しております。
私も、団塊世代の狭量そうなオジサン(もうジイサンか)達より、明治のオジサン花袋の方が、
ずっと親しみを感じちゃいます。
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