葬儀情報ブームともいわれる今日この頃、現代葬送事情に関する本は、本書でも登場する碑文谷創氏による一連の著作をはじめ、巷にあふれている。だが、本書のように、葬儀や墓、あるいは死者に関わる様々な実践やビジネスの最先端で活躍している「人」にこだわって取材し記述した作品は、なかなかに珍しく、新鮮で、とても面白かった。
吉田太一(遺品整理)、松島如戒(生前契約)、小川英爾(共同墓)、井上治代(墓研究・実践)、安田睦彦(自然葬)、青木新門(おくりびと)、山崎譲二(手元供養)、八木澤壮一(火葬場建築)、など、この分野の著名人たちが自らの仕事や取り組みに着手するにいたった経緯や決意、人間の死と生に対する彼らの信念などが明瞭に語られており、群像劇のように読めた。
後半の四分の一ぐらいを占める各章では、趣向をかえ現代における葬儀の変容や葬儀の根本的な意味について色々と議論されている。こちらでは、葬儀業者がしばしば批判の対象となるのは、遺族たちの側に、故人の死に対する呵責の念があり(「もっと何かしてあげられたんじゃ…」)、その負の思いが業者という他者に転嫁されているという側面があるのではないか、という指摘が、きわめて鋭いように思った。
これから葬儀はどうなっていくのか?「要らない」などと思考停止するのではなく、こうした地に足のついた良書をじっくり読みながら、考えたい。