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落語進化論 (新潮選書)
 
 

落語進化論 (新潮選書) [単行本]

立川 志らく
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

それぞれの噺の本質を捉え、落語を進化させ続けること。その上で「江戸の風」を吹かせること。これが、著者が自らにも課した「現代の名人」に求められる条件だ。声質、語りの速度、所作といった身体論から、「抜け雀」「品川心中」「死神」等の新たな落ちの創造に至るまでを、全身落語家が熱く語る。進化の具体例として、志らく版「鉄拐」一席を収録。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

立川 志らく
1963年、東京生まれ。85年に立川談志に入門。95年、真打昇進。創意溢れる古典落語に加え、映画に材をとった「シネマ落語」でも注目される。落語界きっての論客としても知られている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 217ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/06)
  • ISBN-10: 4106036819
  • ISBN-13: 978-4106036811
  • 発売日: 2011/06
  • 商品の寸法: 19.2 x 13 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ソコツ トップ100レビュアー VINE™ メンバー
名著『全身落語家読本』の続編。例の如く談志師匠の教えを鑑としながら、それを独自に発展させた志らくさんのキレのよい落語論が、ときに脱線しまくりながらも縦横無尽に語られる。落語におけるリアリズムの問題やそれぞれの噺のポイント、芸の伝承のあり方やフレーズの美学、「江戸の風」の魅力やオチの改良の方法など、狂気じみたアーティスト肌の芸人でありながらなお理論的かつ軽快な文章をものせる稀有な才能を活かし、おおよそ首肯のできる論が展開されている。
落語に少しでも関心があれば面白く読める本だと思うが、やはり、志らくさんのこの10年ぐらいの歩みを知っていたほうが断然、興味のひかれる作品であることは間違いなかろう。ライバル兄弟子・談春さんのうなぎのぼりの活躍ぶりを横目でみつつ、演劇に熱中してみたり、様々なコラボ企画にのってみたりしながら、本筋である落語の進化のために苦悩と創造の日々を過ごしてきた。この間にどのような思いや葛藤が彼のなかで起こり、それが「今」につながっているのか、感じ入ってしまう記述が少なくない。
そして、圧倒的な存在である師匠への、崇敬と愛情の念。近づこうと努力して自己が成長すればするほど、その遠い凄みに気づいてしまう喜ばしい悩み。いい関係だと思う。そうした関係性からしか導きだされないであろう見識の断片が記された「あとがき」だけでも、とりあえず読んでみてください。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
2000年に著した「全身落語家読本」の巻末で「10年経過したら続編を書く」と約束したことから、編集者に本書の執筆を依頼され、志らく師匠の落語への思いや落語界の変化などを軽妙なタッチで著した落語好きには堪らない魅力溢れた著作です。ひとつひとつのテーマが数ページで纏められているので、とても読みやすく、師匠の落語もさることながら、話題は映画や演劇、昭和歌謡に広がり、本当に多才な方だと感心します。落語評論家の本が世間には多くありますが、評論家でなく、才能がある落語家の創意工夫や感じ方を知る方が、実践に基づいているだけに遥かに説得力があり、落語を深く理解することができる様に思います。

志らく師匠は常に噺に工夫を加え、進化させています。全編が落語への愛情と進化への工夫に溢れ、「本寸法」についての議論など片鱗も有りません。そんな議論は評論家の間だけのことなのだな、と本書を読んで感じます。

今の落語界には多くの女性落語家がいます。声が通るので聴きやすく、艶があるので、魅力はあるのですが、男性が主体の噺では矢張り無理を感じます。志らく師匠は、女性落語家の存在を否定しないものの、「男と同じにやるのではなく、まず主人公を女性に設定しなおし、女性視点で世界を再構築して演ずるべきだ」と。例えば、八五郎に代えて、ちゃきちゃきの江戸ッ子町娘を主人公にするなど。守るべき部分は守るが、噺を進化させ、工夫して面白く変えて行くことにこだわりはない。柳亭こみちや春風亭ぽっぽなどが、そんな噺をしてくれたら、落語界は一層楽しくなるなと感じます。
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By suihou トップ50レビュアー
Amazonが確認した購入
「落語進化論」のタイトルそのままの、全身で落語に体当たりしている「いま、まっただなか」の落語家さんの書いた本です。
 落語という不思議な語り(騙り)の芸術について、いろいろな角度からゆさぶってくれます。

「江戸の風」がほしい、という章。これはほんとうによくわかります。しかも雰囲気や漠然とした気分で書かれているのではなく、具体的に江戸の長屋がどうであったか、食べ物がどうであったか、それを知っている世代の語り口と、そうでない世代では違う、というふうに、知識を肉体化するところから始まることを、映画その他の例をあげており、説得性があります。いわく、「現代落語家の語る貧乏長屋はテレビ時代劇「桃太郎侍」に登場する長屋であり、名人のそれは黒澤明の「どん底」に描かれた長屋」と。

 まくらや現代ふうコントなどについても、現場ならではの切実な提言にあふれ、こちらも衿をただして読みました。

 特に印象に残ったことをあげます。ひとつは、意外でしたが、ひとつひとつのセリフに実感をこめてしゃべりこむと、落語がたいそう長くなり、また「音楽が乱れる」とのこと。「入門して初めて稽古をつけてもらった時、感情をまったく入れず淡々と前座噺の「道潅」を語る師匠に、カルチャーショックを受けた。「落語にはリズムが必要なのだ」と初めて思った」とあります。ここだけでなく、随所に敬愛する師匠談志の芸談が出てくるのですが、談志師匠の言葉から展開する、「落語はリズム、音楽だ」という指摘は大変に面白いものでした。
 やはり演劇とは違う、口承文芸としての側面がある(らしい)。

 そして、あたかもそれと反対の側面に見えるかもしれませんが、もうひとつは、「落ちの進化」です。著者は古典落語で、現代事情に照らすと不満、あるいは単調な人情話すぎてつまらない、と思われるものの「落ち」を自分で改作します。例が五席ほどのっていますが、どれもひじょうに腑に落ちるものです。登場人物を新たに創作したり、あるいは別の役回りをになわせたりと、演劇の演出そのものです。そしてより大きなドラマを創り出す。より迫力の出た「中村仲蔵」や、ナンセンスな笑いにもっていく「品川心中」。

 落語のおもしろさ、不条理さ、情感、すべてを知ったうえで、がっぷり四つに組んでいる著者の心意気が伝わってくる本です。
 これまで著者の高座に足を運んだことはなかったのですが、これを機会に行ってみたくなりました。
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