評論スタイルで、著者が主観で芸人を斬る訳ではなく、著者と昇太がいっしょに本を作っている感じが斬新で、読み心地が軽快で気持ちいい。ときに昇太と筆者が漫才をしているような部分もあり、しかしこういう所に、昇太らしさがよくにじみでている。軽い読み心地のなかにも、落語会のライブレポートのところでは、著者の眼は非常に真摯に昇太の落語の魅力をとらえて分析している。昇太の芸の魅力、人柄の魅力をよく浮き出させていて、読みやすくまとめられており、278ページ、あっと言う間に読み切った。昇太の言いたいことを、懸命に代弁しようする著者の姿勢、そしてそれがくさくならないように細心の注意を払っている著者の、ある種の照れ性に、濃い落語通ならではの、江戸っ子気性をみた。ニッポン放送のチャリティイベント、ミュージックソンでの昇太・鶴瓶のドキュメントが本書のトリを飾っているが、五十歳になってもまだヤンチャな子供のような煌めきを見せる昇太ならではの、子供たちを前にした高座姿の描写は胸を衝く。著者のたしかな筆力と、昇太の唯一無比の天性との、見事なコラボ作品である。