ようやく、堀井さんらしい落語の本が出た、とうれしく思うばかり。かの談春も驚くほど、
生の落語に数多く接している人であり、限りなく日本一に近いはず。寄席、落語会を含め
年平均で1日1回を越えるレベルの方は、そうはいない。たしかに、落語会でよ〜くお見かけ
します。実際に東京日本橋から京都三条大橋まで歩いた経験を踏まえた説得力のある内容
(第二章「昼と夜とで時間はちがう」や第七章「みんな走るように歩いている」など)や、
「子ほめ」を題材にして満年齢と数え年の違いを明確に説きながら、地域社会と個人の関わり
の問題まで提起している第一章など、なかなかの筆の冴え。また、太陰暦を捨てた現代人が
惨めに思えるような第十五章「三十日には月はでない」も素晴らしい。
かつてポッドキャストで「米朝を聞いて育った」と発言していた通り、随所に米朝賛歌が
ちりばめられているところも微笑ましく、好感が持てます。米朝と枝雀、そして志ん朝の
三名人への評価は、まったく同感。本書は巻末の推奨図書や演目別のCD紹介までを含め、
(1)落語入門
(2)落語名作ガイド
(3)落語に学ぶ江戸庶民の知恵、
といった盛りだくさんな内容を含んでいます。しかも、非常に読みやすく分かりやすい。
特に若い落語ファンにお奨めします。
今日の落語に関する語り部では第一人者であろう著者の今後への期待も込めて星五つ!