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表題作で冒頭に配されている『落日の門』は本シリーズの根底を成す人間関係の紹介編ともいえる作品です。
予備知識なし読むと、これが「2.16」の話ということは最後になるまで断定できませんでした(歴史的事実だとすると、知っている人にはすぐ分かるのでしょうが)。
革命を実行しようとする青年将校の一人・村橋と、対象であるひとりの大臣・桂木の娘・綾子とが恋仲であった、というのがそれで、その将校の親友である安田が村橋を制裁するまでの人間ドラマと、軍人としての自分と親友としての自分の間で揺れ動くが故に嘘と駆け引きをすることが推理小説的逆転を引き起こします。
後の作品はこの登場人物たちを元に、作中作から女のプライドに到るまで、様々な角度から人間関係を描きだします。
決してマクロな「2.26事件」の全貌に及ぶことはなく、あくまでも描かれるのはごく小数の人間のミクロなドラマです。歴史的事件を扱ってはいますが、出来上がったのはやはり連城作品としての色でまとまっていますので、連城ファンは安心して読め、かつ楽しめるでしょう。
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