2005年に出た単行本の文庫化。7本の短篇が収められている。
実は田中氏のデビュー作は鮎川哲也編『本格推理2』に採用された「落下する緑」であった。しかし、デビュー後はジュヴナイル作品へと進んでしまったため、「落下する緑」に登場する名探偵・永見緋太郎もずっと忘れられていた。ところが、2003年に『ミステリーズ!』で連載する話が持ち上がり、奇跡の復活を遂げたのである。
永見はテナーサックス奏者。ジャズ界を舞台にしたミステリとなっており、ストーリーも音楽、楽器、コンサートを扱ったものが多い。著者の趣味の世界でもあり、凝ったディテールが面白い。
ミステリとしては、いまいち。「揺れる黄色」のトリックが素晴らしいが、あとはちょっと・・。がくっと脱力してしまうような結末も少なくない。ただし、物語としてはどれもハイレベル。ひねりがあり、人間ドラマがあり、ジャズの魅力が伝わってくる。
田中氏に特有のギャグとグロは控えめで、初心者でも安心して読める。
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