内田康夫の4作目は、萩原朔太郎の詩に描かれた通りに殺人が起きるという、いわゆるマザーグース殺人を扱いながらも、デビュー作『死者の木霊』を思わせるような社会派的な面も持った作品となりました。30年前に起きた事件に端を発する復讐劇という設定は、横溝正史が好きな人なら涎ものですね。但し、前作で初登場した浅見光彦は本作には登場しません。代わって探偵役として活躍するのは30年前の事件に関わった為に刑事を辞めた須貝国男と、『死者の木霊』でも活躍した岡部和雄警部です。但し、須貝は後半で存在感が薄くなってしまうところがちょっと残念です。
本来はつまらない事件が、犯人によるミスリーディングのおかげでわくわくするような事件の衣をまとっただけという感がなきにしもあらずなのですが、読んでいる間はそれなりに楽しめます。