本書は世界各地の拷問・処刑用具を、美少女絵で紹介したもの。
タイトルからしてバカバカしいことこの上ないが、不思議と愛着のわく書物である。遊び心満載で、なかなか楽しめる一冊なので、大事にしたいと思う。
残念なのは、P.107以降の「その他」の章がいささか見劣りがすることである。まず「注射器」が処刑用具として描かれていない。また、「絞首刑」のイラストはただロープと戯れているようにしか見えず、どうみても絞縄(こうじょう)を描いているとは思えない。
あくまでも本書のコンセプトは「拷問・処刑用具の紹介」である。遊び心は大いに歓迎するが、最低限のルールは守るべきだろう。 また、全体として見開きのイラストが見づらく、せっかくの画業が台無しになっていることも惜しまれる。
最後に「中世ヨーロッパの狂気・魔女裁判」の章について補足しておきたい。
本書でも指摘されているように、魔女裁判がたけなわだったのは15〜16世紀のことである。ところが、これは丁度ルネッサンスの時期と符合する。そしてこの時期は、宗教改革をめぐる凄惨な内ゲバ戦争の時代でもあった。栄光の復興期として喧伝されるルネッサンスが、残忍な拷問・処刑方法の刷新と表裏一体(或いはどちらも表)の関係にあった事は記憶してよい事柄である。このあたり、どことなく現代に通じるものがあるではないか。本書が某地域で、卑劣にも「有害図書」に指定された事は、実に象徴的である。