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第5章「侯爵が欲しい!」で語られる、嵯峨実愛(嵯峨浩の曽祖父)の陞爵への凄まじいまでの執念が面白いし、努力の甲斐あって、やっと侯爵になれた息子の公勝の爵禄要求がまた皮肉で可笑しい。嵯峨家は代々大臣家であったから、平堂上家と同じ伯爵では我慢がならなかったのだ。そして、皮肉なことに、伯爵以下では貴族院議員は選挙で選出され、歳費と旅費が支給されるのに対して、公・侯爵では世襲で無給なのだ。公爵は金禄公債と合わせるとほぼ10万円になるように家門永続資金を下賜されていた。が、侯爵にはなかった。その事実が公勝を侯爵への爵禄要求へと駆り立てたのだ。とはいえ、当時、巡査の初任給が6円という時代に、嵯峨家は年3000円の固定収入があったのだから、同情の余地は無い。
欲を言えば、もう少し後の叙爵についても触れて欲しかった。例えば、稲田邦植(徳島藩家老。淡路洲本1万4500石。)の男爵叙爵や徳川慶喜の公爵叙爵、財閥当主等の叙爵など。でも、本書は読んで面白かったし、幕末・明治からの歴史小説を読むのにも参考になると思う。
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