何よりも、藍川京のこの処女作が、『卒業 恥ずかしすぎる体験』というそれこそ恥ずかしすぎるようなタイトルで出版され、そして、残念ながら廃刊となり、・・・ それでも尚、おそらく非常にリベラル、かつ、感性の高い人々によって、「隠れた名作」と密やかに支持され続け、こうして復刻再刊されたこと、そのこと自体が素晴らしい。中井英夫風に表現すれば、「泉鏡花、谷崎潤一郎、三島由紀夫、川端康成・・・ と、続いてきた日本の美の王朝の系譜は忽然と消えた。」のかもしれませんが、もしかすると、それはここにまだこのような形で幽かに息づいているような気もしなくはありません。それは、所詮、多くの人々にとっては、官能小説という隠花植物めいたものに過ぎないのかもしれませんが、隠された花は、余計に、妖しく、美しい。とも云えます。少しでも多くの方がこの隠された花のその美しさに気付いてくれたらと思ったりします。