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持ち船・辰悦丸が完成し、本格的に蝦夷航路を行く嘉兵衛。
境屋から高田屋を独立、
というより逆吸収して独立しようとする嘉兵衛と兵庫の老舗・北風家との対立も…。
この巻で本格的に描かれるのは蝦夷の状況について。
特に幕府が東蝦夷を召し上げる計画が進んでいるので、
それは直接嘉兵衛の動向にも関わってきます。
◆「彦助さん、私は子供なんです。いつも夢ばかり見ています。松前の浜に
くるのは、夢でした。」(略)「松前へ来たがったが、来てしまうといつま
でも子供でいたかったような気がします。」
◆わけ知りには、志がない。志がないところに、社会の前進はないのである。
◆商い行為というのは、本来、倫理行為なのである。
「苗を植えて育てれば米が取れるという百姓とはちがうのだ。」
◆「商人の半分はああいうぐあいでしょう。」
⇒毎日、尊大と卑屈のあいだを上下するばかりで、恒常心で暮してい
ない。
◆「もし、日本国の船乗りが地球のすみずみまでゆけるとしたら、極楽への
憧れもなくなるかもしれない。」
◆日本の本土という社会にあくせくして、小沼の小魚のようにこれ以外に棲
家はない、と思っている矮小な心が、蝦夷人とその文化という異質なも
のを見るうちに、大きくなってゆくような気がした。
また、サトニラさんの病気の中での一言は的を射た一言でした。
◆「病というものにかかると、あきんどはもうだめだ。自分のこと以外考え
なくなるために、自分がみるみる痩せてゆく」
教えられることが多い一冊です。
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