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菜の花の沖〈1〉 (文春文庫)
 
 

菜の花の沖〈1〉 (文春文庫) [文庫]

司馬 遼太郎
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (17件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

江戸後期、ロシアと日本の間で数奇な運命を辿った北海の快男児・高田屋嘉兵衛を描いた名作が、大きな活字の新装版で一挙大登場!

内容(「BOOK」データベースより)

江戸後期、淡路島の貧家に生れた高田屋嘉兵衛は、悲惨な境遇から海の男として身を起し、ついには北辺の蝦夷・千島の海で活躍する偉大な商人に成長してゆく…。沸騰する商品経済を内包しつつも頑なに国をとざし続ける日本と、南下する大国ロシアとのはざまで数奇な運命を生き抜いた快男児の生涯を雄大な構想で描く。

登録情報

  • 文庫: 403ページ
  • 出版社: 文藝春秋; 新装版 (2000/09)
  • ISBN-10: 4167105861
  • ISBN-13: 978-4167105860
  • 発売日: 2000/09
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (17件のカスタマーレビュー)
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16 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Witt
形式:文庫
司馬氏の長編はほぼ読み尽くしましたが,あえて一冊をあげよ,と問われれば,この「菜の花の沖」をえらびます。

作品の発表から相当な年月が経過していますが,内容はけっして古びていないと思います。

社会の広域化(今風に言えば「グローバル化」)に伴う「人」と「もの」の交通・流通の活性化がその時代に所属する人間の精神に与える影響がテーマなのです。

江戸時代は,鎖国政策という制約下のもとではありますが,内国的な広域化の進んだ時代でもある上,物語の終盤では,互いに未知の文明といっていい,日本とロシアが激しく衝突します。

そのような時代が生み出したひとつの典型としての「高田屋嘉兵衛」という快男児の一代記です。

司馬氏の長編では,まず人物を描くのではなく,人物の属する「時代」そのものを描き,その時代の大きな流れの中で登場人物たちがいかにふるまったのかを描く,といった手法がとられることが多いようですが,本編では,日本・ロシア双方の史料から主人公である嘉兵衛の言動・行動が立体的に明らかにされていくのであり,その展開がなかなか面白いです。

氏の他の作品のような合戦シーンもチャンバラシーンもほとんどなく,むしろ日本とロシアが戦端を開くのを,必死の外交交渉で回避するストーリーです。

アメリカの中東政策に関連して,一時「報復の連鎖」という言葉が流行りましたが,嘉兵衛は政治になんの責任を持たない町人の身分ながら,ほとんど徒手空拳でこの連鎖を断ち切ることに成功しています(まさに快男児です)。

文庫本第5巻の「ロシア史」はたしかに冗長ではありますが,「文明の衝突」を描く上で,ロシア史をまったく描かないのも片手落ちともいえるので,個人的には許容できると考えています。
このレビューは参考になりましたか?
21 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 紫陽花 VINE™ メンバー
形式:単行本
高田屋嘉兵衛は江戸時代の船商人。本作は嘉兵衛の少年時代から引退後の生活まで、ほとんど一生を描いた伝記。司馬作品が昭和期の反省から、ややもすると明治維新前後の人間を美化して描く傾向があるのに対し、本作は江戸時代の大人を素直に描いていて好感が持てる。題名は引退した嘉兵衛が住む淡路島の丘から見る沖の事。

作者は、成功した船商人のサクセス・ストーリーを描こうとしたものではなく、江戸時代に何故このような自由闊達で悠揚迫らぬ精神を持った人間が存在したのかという秘密に迫ろうとしたものと思われる。それが顕著になるのは、嘉兵衛がロシアの軍船に捕まってシベリアの地に抑留されてからである。この当時、ロシアの軍船が日本に接近し、しばしば問題を起こしていた。ここで嘉兵衛は、卑屈になったり、媚びたりせず、相手と堂々と渡り合うのである。ロシアの少年にロシア語を学んだりもする。また、自分が橋渡しをすれば相手にこういうメリットがあるという提案もしたりする。

窮地に陥った時、こうした信念が強くかつ自由な精神、悠揚迫らぬ態度を見せる人物を作者はある種の理想の人間像と考えているのだろう。読後感が爽やかな司馬文学の最高峰。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
本書は、19世紀初頭、いわゆる幕末期から遡ること半世紀、まだ尊王攘夷思想もない、鎖国下の‘天下泰平’の世相にあった時代の、ひとりの船商人の物語である。幕末期をテーマとした小説は多いが、この時期の小説は、ほとんど見かけない。私にとって、まずこのことが、本書に興味を持った最初のきっかけとなった。

さて、本書は、2つのテーマを扱っていると思う。ひとつは、主人公高田屋嘉兵衛の生き様とロシア高官リカルド少佐との友情、そしてもうひとつは、そのようなことを可能とした当時の日本を取り巻く世界情勢である。

当時の日本には、「友情」という言葉はなかったのかも知れないが、この物語の価値は、まさに感動を呼ぶ「友情の物語」であるところにあると思う。淡路島の貧村に生まれた嘉兵衛が、裸一貫で兵庫へ流れ、そこで成功し、更に北海航路や蝦夷地の漁場を開拓する。その成功の過程には、彼の生死を厭わぬほどの並々ならぬ「志」と努力があって、まずそのことで私たち読者は感心してしまう。

第5巻あたりでは、詳しいロシア情勢や時代背景の紹介が延々と続き、主人公の嘉兵衛はまるでどこかへ消えてしまったように出てこなくなるのだが、ここは、第6巻でのフィナーレの前章でもある。すなわち、当時の日本を取り巻く情勢がどうだったのか、日本にやがて迫り来る外圧の前触れとなる事件や人々の動きはどうだったのか、を洗い出していて、ある意味、この小説が取扱うもうひとつの重要なテーマでもあるといえよう。そして、この情勢の理解こそ、続く第6巻での劇的なフィナーレを盛り上げる‘屋台骨’となる。

すなわち、嘉兵衛は、一商人でありながら、実質的に日本の外交部代表として日本とロシアの絆を繋ぐキーマンとなる。彼は、単なる漂流民では終わらなかった。既に、当時の蝦夷地を開拓した大立者であり、当時幕府直轄地であったこの蝦夷地において幕府高官の信頼を勝ち得ていた。そして、彼の情熱と人間性がロシア高官リカルドを惹き付け、幕府高官を惹き付け、眼前の国家的課題を解決する。そして、そこでは、何よりも彼とリカルドとの‘男と男の友情’がものをいったのである。

19世紀初頭の日本など、現代人がほとんど知る由もないなかで、このような感動の物語があったのかと思うと、実にこの小説が貴重なものに思えてくる。司馬遼太郎氏に、日本の感動をありがとう!と言いたい。
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快作
ノーベル化学賞受賞の白川英樹先生が講演の際に取り上げられていたので、読んでみました。... 続きを読む
投稿日: 11か月前 投稿者: SS41
至極爽やかで情熱的
 司馬作品の中で最も気に入っている作品。途中のロシア史が長々と書かれている巻を... 続きを読む
投稿日: 2009/5/27 投稿者: ビリオンくま
余談が長く、多い
個人的な好みになりますが、司馬氏の作品は好き嫌いが極端にわかれてしまいます。... 続きを読む
投稿日: 2007/12/9 投稿者: 亀吉
レビュー(上)
司馬遼太郎の小説としては晩年にあたる作品。
この作品は文庫版にして1〜4巻、5巻、6巻の3部に分けてレビューしたい。... 続きを読む
投稿日: 2007/7/28 投稿者: momcat
ちょっと長すぎるけど、されど、司馬遼太郎
全巻読み通すのにずいぶん時間がかかった。最初の3巻までは主人公の若いころの冒険心溢れる生き様が描かれ、どんどん読み進むことができたが、その後は鎖国時代の蝦夷地開発... 続きを読む
投稿日: 2007/7/10 投稿者: starlight
冗長だが特徴のある時代小説
18世紀後半、函館を拠点に活躍した商人、高田屋嘉兵衛の生涯を描く。

「函館の恩人」とも呼ばれ、函館山の麓に銅像の建つ人物である。... 続きを読む
投稿日: 2006/12/28 投稿者: @poor work
偉人の功績
江戸時代後期のパワー溢れる偉人、高田屋嘉兵衛は司馬遼太郎が見い出さなければそのまま歴史に埋もれていた人なんですよね。... 続きを読む
投稿日: 2006/2/20 投稿者: doberman
江戸の農民と商人の社会
~舞台が私の住んでいる西宮や兵庫、淡路と近いこともあるし、
ロシアとの国交の基礎を築いた人でもあるので、... 続きを読む
投稿日: 2005/9/24 投稿者: レグルス
嘉兵衛を通してロシアを知ろうとされた作品。
... 続きを読む
投稿日: 2005/3/14 投稿者: とし坊
村との闘い
自分を振り返るきっかけとなる本でした。
同質なものの中で異質は排除されるものです。... 続きを読む
投稿日: 2004/8/11 投稿者: 内海透
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