カンヌ国際映画祭で大絶賛を浴び、長時間に及ぶスタンディングオベーションを受け、パルムドールを逃した時には、カンヌの人たちが「ええ!?」と驚きの声を挙げたというこの作品ですが、私は長い間観る気になりませんでした。
「大人」と「子供」。それも、ちょっとヤクザな大人と可哀想な子供が登場するという……。
これは明らかに「臭い」だろうと判断したし、外国で大受けしたというのも、かなり割り引いて受け止めていたせいもありました。だけどようやく観る気になって、観た次第です。
要所要所に印象的なシーンが登場しはするのですが、全体的にのんびりとしたムードで淡々と進んでいき、時折笑い、時折欠伸が出る感じ。まさに夏休みの中盤頃のイメージだなぁと思いつつ、のんびりと眺めていました。悪くないけどカンヌで大絶賛というのはやはり誇張か……などと思いつつ。こののんびりムードはいったいいつまで続くんだろう?なんて思っていたら、唐突にやってきた物語の折り返し地点。
折り返し地点以降ラストまでの展開を「退屈」と見るか「しみじみ」と見るかは人それぞれかなと思いますが、私は「しみじみ」と観ました。しみじみと観ると、前半の時に感じていたのんびりムードが、実際は虚構だった事がわかってきます。大人と子供は共に信頼関係になく、ただ野放図に目的地を目指しているだけで、通りすがりに出会う大人たちも、親切ではあったけれど、それはあくまで「ついで」の範囲内で、最後までの面倒は見てくれなかったですよね。だけど、大人=菊次郎が子供=マサオを本当の意味で労るようになって以降は、通りすがりに出会う大人たちも変化した。「ついでの親切」を越えて、子供を労る菊次郎と同化せんばかりに「マサオの短い夏休みと、菊次郎の長い休み」に付き合う天使になった…!
星空に「天使」たちを思い浮かべて微笑むマサオの場面以降ラストまで、私の心臓はどくどくと脈打ち、ラストシーンでは嗚咽を堪えきれず、映画が終了した後も、何時間も余韻に浸っていました。素晴らしい映画でした。