自身の到達点を明確にしており、常に冷静、論理的。
時に強引に行動し、渦巻く流れの中心を図らずとも自分に持ってくる。
主人公、荻浦嬢瑠璃(おぎうら じょうるり)は
いち登場人物として、非常に魅力的な存在で物語を盛り上げている。
クラスメイトから、後輩から、教師から絶対的な信頼を得た嬢瑠璃が、
ある時期を境に完全に孤立し、心身ボロボロの状態から
生まれ変わり立ち上がる。
単純明快なストーリーで、ある種の爽快感にあふれる仕上がりとなっている。
決して美しい結論ではないのかもしれないが…
物語自体は単純なのだが、添えられる設定や背景が非常に難解。
作者独自の世界観、哲学が少々突飛なものであるのは勿論、
それを説明する言葉もまた迂遠で韜晦としているので
物語の途中は常に疑問符が付きまとう。主人公自身は勿論、
読者もまた、その世界観を理解することが、この物語のもう一つの側面だ。
前作「飛鳥井全死は間違えない」の位置づけについて、
作者は「続編とも番外編ともいえなくない」といっているが、
本作は完全に「飛鳥井全死は〜」の続編。
ストーリー自体はそれほど強い関連性はないが、
登場人物や時系列が前作ありきで語られているため、
話がこの作品だけで完結しきれない。名前だけで容姿等人物描写すらされない
主要登場人物もいる(前作ではきっちりと語られている)。
前作は、本作以上に癖が強いため、まずはこの作品を読み、
真に物語を完結させたい人は前作を読んでみると良いだろう。