私は、この本のハードカバー版を長く愛読していますが、持ち運びに便利な文庫版が出たことを嬉しく思います。
文庫化にあたり、フリガナを増やすなど、多少の改定が行われていますが、基本的には同じです。文庫版になっても文字は大き目で有り難いです。
現代語訳、原文、読み下し文の順で、最小限の注釈が付きます。
内編と共に、外編、雑編もいくらか選択して掲載したところがユニークです。
私は、意訳的なものも含め、数多くの荘子の翻訳を読みましたが、どれも捨てがたく、いずれが1番とはなかなか言えませんが、この岸陽子訳の最大の特徴は「読みやすい」ことと思います。この現代語訳は、古典の香りを損ねない範囲で、なるべく現代的な言葉遣いとし、また、注釈を無視しても意味が取れますので、内容の把握が楽です。その注釈も分りやすいもので、「なるほど」と感じさせてくれるものが多いです。
それでいて、基本的には原文に忠実なことは、読み下し文と比較しても分ります。つまり、最小限の必要な補足や注釈を施しており、文章が素朴で明解なこともあり、荘子が自然に伝わってくる感じがあり、私は大変に気に入っております。