このアルバムにとって重要な意味を持つことになる楽曲「荒野」「Hybrid」を中心として色とりどりな楽曲が散りばめられている。そのどれもが互いに刺激し合い、それぞれの楽曲の良さを際立たせている。
下岡晃の楽曲のリリックがプロテスト・ソングとしての側面が強く、メッセージ性がとても激しい為に強烈な衝撃を与え魂が火傷しかねないが、強くなり過ぎないように優しく歌われている。さらにそこへグッと救い上げるように佐々木健太郎の優しくも暖かい楽曲で強さを中和していて、見事なバランスを保っている。
楽曲の構成順も素晴らしく1曲目「PHASE」の力強いイントロがこれから始まることへの予感をさせ、下岡の楽曲である「荒野」や「Hybrid」などで人の奥底にある意識をヒリヒリと刺激し、刺激されたところへ絶妙なタイミングで「ロックンロール」や「Fine」など佐々木の楽曲を配して柔らかく包み込み、アルバムの最後に下岡自身が大切な曲と語る「TEXAS」をアルバムの締めに相応しい仕上がりになっている、やけのはらさんがリミックスしたバージョンを持ってきる。
この流れで通して聴くとまるで1つの物語のように思える。どの楽曲が欠けてもこのアルバムは成り立たず、逆にこの構成だからこそこのアルバム「荒野/On the Wild Side」は成り立っているように思う。
プロデューサーに前作から引き続き吉田仁氏(Salon Music)を迎え、限りなく音数を減らし、シンセやストリングスを取り入れ、よりサウンドを研ぎ澄ませていき、洗練されたバンド・アンサンブルを奏でている。
3ピース・バンドとしての新たな可能性を切り拓いた、アナログフィッシュ史上最高傑作と言っても過言ではない秀逸な作品と言える。
ぜひ1度、聴いてもらいたい1枚。