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44 人中、42人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
自由と孤独を求めて 〜ある青年の生と死の記録〜,
By 水蓮 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 荒野へ (集英社文庫) (文庫)
1992年、アラスカの荒野で一人の青年の遺体が発見された。死因は“餓死”。青年の名前はクリストファー・J・マッカンドレス。ワシントン郊外の裕福な家庭で育ち、頭脳明晰で将来を嘱望されていた若者だった。 しかし、彼は大学を卒業後、家族の前から忽然と姿を消し放浪の旅に出る―。 青年の謎に満ちた人生と死の真相に迫った感動のノンフィクション・ノベルで、映画『Into the Wild』の原作です。 映画のあらすじを読んで興味を持ち、すぐさま本書を購読しました。 著者の緻密な筆致にぐいぐい引き込まれます。読後は言い知れぬ深い感銘と衝撃を受けました。 青年の生き様は少なからず共感できる部分があり、その壮絶な最期には胸が痛みます。 青年の生い立ち、放浪生活、そしてアラスカでの過酷な生活と死までの様子が、彼に関わった人達の証言と著者の見解で語られています。 とりわけ、死の影が濃くなる第2章と第18章などは泣けてきます。 真相ついては憶測の域が出ないのですが、著者の綿密な取材による裏付けと見解は信憑性があり読み手を納得させるに充分だと思います。 今の時代、社会や家庭に自分の居場所を見つけられず、ストレスや窮屈さを感じている人は多いと思います。 私自身も世間のしがらみや煩わしい事から解放され何処か遠くへ行きたいと思う事、しょっちゅうです。 クリスもそんな一人であった訳ですが、違うのは彼は生来の冒険好きで常人には理解し難い思想の持ち主だったと言う事です。 家族や文明や資本主義を否定し、社会から隔絶された世界で一人生き抜く事が、彼の美学であり自己への挑戦でもあったのでしょう。 命の危険を顧みない冒険家の気持は正直理解しかねますが、今までの自分を捨て見知らぬ土地で生まれ変わりたいという衝動は分かります。 映画のほうも、アカデミー賞こそ逃したものの傑作との呼び声高い作品に仕上がっているそうなので是非見てみたいです。
26 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
一気に読んでしまいました,
By
レビュー対象商品: 荒野へ (集英社文庫) (文庫)
クラカワーの本はどれも読み応えがあるが、中でもこの本はお勧めできます。構成が非常にうまいです。 作者がその存在を知ったときにはすでに荒野で餓死していた一人の若者の足跡を、本書は感情を抑えた筆致で丁寧に辿っていきます。 その過程は、特に劇的な場面もないのに、スリリングで引き込まれます。 作者が言う、「死の淵の中をちょっと覗いてみたい」(本が今手元にないので正確な描写でないが)気持ちを一度でも持ったことがある人、結構いるのではないでしょうか? 人によってはそれが危険地帯を放浪することだったり、台風の日に防波堤を見に行くことだったり、絶壁の下を覗き込むことだったり・・。 でも、おそらく誰もその時、自分はただ見てみたい、経験してみたいだけで、本当に死ぬのだとは思っていなかったはずです。 かつて作者もそのような若者であり、自分が今も生きていてこの若者が死んでしまった事実の間に、それほど大きな差はないのだ、と作者は自身の体験を挟み込みながら語っています。 読んでいるとこの部分は唐突に挿入されているように感じますが、若者の不可解な死を、我々の想像の手の届く場所へ運ぶ役割を果たしていると思います。
27 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
品格を取り戻してくれた作者,
By cpu "たっか☆" (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 荒野へ (集英社文庫) (文庫)
まず著者に讃辞を送りたい気持ちと、この本で亡くなった主人公の品格が取り戻されたことに喜びを感じました。このような鋭敏で良心のあるジャーナリストがいたことに幸運を覚えます。 また、ニュースの中で日々伝達される一方的な情報とは異なった真実があることを改めて考えさせられました。 生きることの意味、人生を豊穣にするモノは何か、など、書物にある綺麗な言葉と裏腹に主人公が亡くなる直前に記した言葉に対し著者が推測した内容は大変感動し共感を覚えます。 亡くなった主人公のように大衆に対して少数な価値観を持つのは私自身そうでしたし、人と価値観が違って悩んでいる人、もし人生の意味や生きる意味を多少なりとも深く考えたことのある方にこの本はきっと何かしら伝えてくれるかもしれません。 私にとってはとても考えさせてくれた本でした。
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