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荒野のおおかみ (新潮文庫)
 
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荒野のおおかみ (新潮文庫) [文庫]

ヘッセ , Hermann Hesse , 高橋 健二
5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

物質の過剰に陶酔している現代社会で、それと同調して市民的に生きることのできない放浪者ハリー・ハラーを“荒野のおおかみ”に擬し、自己の内部と、自己と世界との間の二重の分裂に苦悩するアウトサイダーの魂の苦しみを描く。本書は、同時に機械文明の発達に幻惑されて無反省に惰性的に生きている同時代に対する痛烈な文明批判を試みた、詩人五十歳の記念的作品である。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

ヘッセ,ヘルマン
1877‐1962。ドイツの抒情詩人・小説家。南独カルプの牧師の家庭に生れ、神学校に進むが、「詩人になるか、でなければ、何にもなりたくない」と脱走、職を転々の後、書店員となり、1904年の『郷愁』の成功で作家生活に入る。両大戦時には、非戦論者として苦境に立ったが、スイス国籍を得、在住、人間の精神の幸福を問う作品を著し続けた。’46年ノーベル文学賞受賞

高橋 健二
1902‐1998。東京生れ。東京大学独文科卒。’31年ドイツに留学、ヘッセへの7回の訪問を始め、ケストナー、マン、カロッサ等多くの作家と交流。ドイツ文学の紹介、翻訳などで活躍し、読売文学賞、芸術選奨ほかの各賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 349ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1971/02)
  • ISBN-10: 4102001131
  • ISBN-13: 978-4102001134
  • 発売日: 1971/02
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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48 人中、44人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
「『荒野のおおかみ』が実験的な大胆さにおいて『ユリシーズ』や『贋金つくり』に劣らぬ文学作品であることを、言う必要があろうか」

これはヘッセの生涯の親友だったトーマス・マンの言葉である。マンは同じ作家としてこの作品を深く理解していたようだが、しかし一方でこの作品は、当時多くの人々によって激しく非難された。その理由の一端は、この小説における厳しい文明批判や、自己の内面の仮借なき表白、また当時の風紀に反するような描写も含まれているからだろう。

ところで「荒野のおおかみ」とは、世間一般の生ぬるい「満足」に満足できず、その社会通念や価値観に迎合できないアウトサイダー的主人公ハリー・ハラーを形容する言葉である。この50歳近くの主人公はこの世界と自分の存在の無意味さに吐き気を感じ、日々自殺の誘惑に向き合う。そして彼は、自殺が「愚かで卑怯でみじめ」で「不名誉な恥ずべき非常口である」と知りつつもある日ついに自殺を決意するに至るが、その時この小説の本当の展開が始まる。娼婦ヘルミーネやマリア、ジャズ奏者のパブロと出会う中で、戸惑いながらも新たな自己に気づいていき、そして最も謎めいた夢幻的なラストシーンへと向かっていく…。

この作品はその特異性と謎ゆえに決して万人向きではないが、ヘッセのことをより深く知りたい人やアウトサイダーのことに関心のある人に是非読んでみてほしい問題作かつ傑作である。一読しただけでは気づきにくいが、形式的にもかなり計算された技巧的な作品であり、また内容的にも『デミアン』や『シッダールタ』等と根元的なテーマは一致している。ヘッセはこの『荒野のおおかみ』を通過してはじめて、後年の『知と愛(ナルチスとゴルトムント)』やノーベル賞受賞作『ガラス玉遊戯』を創出するに至ることができたのである。(※『ガラス玉演戯』は絶版なので読みたい人は公共図書館等で『ヘッセ全集』を探すことをお勧めします。)

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14 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 若いころヘッセにはまりました。「車輪の下」から始まり、「郷愁」、「デミアン」、「シッダールタ」、「知と愛」・・・。最近なつかしくなって何冊か買いなおして読み始めたのですが、若いころとちがって心がもう情熱を失っている。おもしろいのだが、最後まで読み通せない。
 それでもこの本だけは主人公が自分の年齢に近いだけあって、最後まで読んでしまいました。若いときには単なる教養主義的な文明批判だとしか思えなかった描写が、若者に対する老人の宿命的な嫉妬の感情を背景にした人間風刺であったことがわかったりして、感慨深かったからです。考えてみれば、単なる文明批判なら主人公を「50がらみの」独身男にする必要はない。ヘッセは主人公を自分と同じ年齢にし、名を自分のイニシャルとそろえ、自分に近づけて、自分の欲望を露にしたところから書いています。それゆえ単なる風刺を超えた説得力を持つ。本当はこの本は老人文学というべきなのでしょう。
 若いときには長いばかりで退屈だった「ガラス玉演技」も今ならわかるのかもしれません。でも、もうとうの昔に捨ててしまいました。あのときはもう2度と手に入らなくなるなどとは思いませんでしたから。
このレビューは参考になりましたか?
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
かなり密度の高い文体で、やや難解。じっくり時間をかけて読むことをお勧めします。私は久しぶりに読書で魂を揺さぶられるような体験をしました。すこし人生観が変わったかもしれません。それくらい凄い本だと思います。
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