単行本へのレビューで指摘があるように、敢えて「イマドキの男子」を類型化しているのが本書の面白さだろう。客観的なデータの裏付けはないが、元々そうしたやり方で進められた企画でもない。綿密な取材に基づくルポの価値は言うまでもないが、世代の価値観の変化を捉えるのに、こうした考現学的な方法も有効だろう。下手に客観データを集めても、『下流社会』の著者のようにデータの恣意的な解釈に陥る危険もある。「草食系男子」は近頃かなり人口に膾炙した感があるが、秀逸な造語だと思う。「負け犬」はじめ最近のある種の若者論から生まれた単語は多いけれど、著者自身が言っているように、これは必ずしも最近の若者の傾向を括っただけの言葉ではない。そうした価値観やスタイルの男子が目立つようになったのは事実としても、これまでそうした男がいなかった訳ではあるまい。そこにわかりやすい呼び名を与えた著者のセンスは評価されていいと思う。