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そういう人に勧めたいのが本書だ。もちろん、蛙の詩も載っている。特に有名な「秋の夜の会話」を冒頭に置いた『第百階級』は全部収録されている。「やっぱり蛙か!」と思わずに読んでみて欲しい。「草野心平はアヴァンギャルドだったのか!」くらいは思うかもしれない。
ぶっ飛び具合が半端ではない。これが蛙の詩で発揮されるとどこかユーモラスなのだが、より宇宙的なテーマになるともう、圧倒的だ。「ごめんなさい」とひれ伏すのみ。他の詩人とは見えている地平が違う。悲しみが汚れたなどとチマチマしたりしないのだ。ゴツゴツした剥き出しの生命感が心平の身上である。
富士山と真正面から対決した連作『富士』もこの詩人でなければ書き得ない作品だ。普通の詩人ならまず富士山に負けてしまうだろうし、そもそも挑みかかるという発想がない。富士山の詩・・・あまりにベタになりそうではないか。そうはならないところがこの詩人の偉大さだ。
生活の詩にしても、心平自身はかなり貧困に苦しんだのだが、じめじめしたところがない。どこか吹っ切れているところがあり、日本的私小説的世界とは無縁である。またシルクロードの詩も収録されている。
蛙、富士、シルクロード、生活雑記と振幅の大きさも桁違いだ。草野心平は、高村光太郎と並び、日本近代詩の巨人というにふさわしい。
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