「けものはら」「屋根猩猩」「くさのゆめがたり」「天化の宿」「朝の朧町」5編を収録した『草祭』という連作集。初出は「小説新潮」2007年6,9,12月号2008年3,6月号。
作品の舞台、美奥町には秘密がいっぱい。不思議な世界と入り交じっている。
変化して戻ってこない人、残される人、戻ってくる人、残る人。
隣の人が不思議な場所から帰ってきたばかりでも、気がつかない。
でもいつかは自分が当事者に。
そんな体験を個々にした人がパラパラ住む町。
ある地区では住民とおかしなモノが普通に共存しているし。
別にそれを吹聴するわけでも、特に秘密にするわけでもなく、おのおの消化し生活している。
起承転結とか因果応報とかなく、教訓が含まれる訳でもなく説教臭くない。
ただそんな話があったよ、こんな世界があるよ、というスタンスが好きです。
1話目と2話目が、かなり繋がった話なので、3話目で「おや?」と思う。
そしてこのお話、どこまで続くのかな?いつ美奥に繋がるのかな?と気にしながら読むと結構長い。オチが読めないのは私が鈍いのだろうか。
この3作目が一番面白かった。でもそれも他の4作があってこそ。
オレンジの花。幅の狭い線路。いつも登場するおじさん。
連作って独特の楽しみと、ノイズがあるな、といつも思う。
恒川光太郎の作る世界は、いつも自分の予測を裏切る。
大筋でも些細な事でも。
変な空間の老婆は将来永劫そこに居るものだ、と思うんだけれど、あっさり居なくなって空き家になっていたり。
地域の守り神が、そんなことしますか?とか。
デビュー作「夜市」の度肝を抜く展開は、本当に凄かった。
ただ私としてはなんとなく描写がスカスカしていて、その点は読み応えに欠けるかな、と(これが余韻というもの、なのかもしれないですが)。
今回『草祭』この点は、気になりませんでした。