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草の根の軍国主義
 
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草の根の軍国主義 [単行本]

佐藤 忠男
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,680 通常配送無料 詳細
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合計価格: ¥ 2,436

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

気分が戦争に突っ走るとき。昭和史の本当に怖ろしい問題。あの昭和の戦争において、民衆は、指導者層や軍部に操られ踊らされただけだったのだろうか。「軍国主義」を支えた庶民の心のありようを問い直す、渾身の書き下ろし。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

佐藤 忠男
1930年、新潟県生まれ。国鉄職員、電電公社員を経て、57年以降『映画評論』『思想の科学』の編集長。62年に映画評論家として独立する。以後、平明かつ説得力のある文章で、映画をはじめ、大衆文化、教育などにわたる幅広い評論活動を展開している。とくにアジア、アフリカ、中東の国々との映画による交流活動は大きな業績を上げている。現在、日本映画学校校長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 267ページ
  • 出版社: 平凡社 (2007/07)
  • ISBN-10: 4582454356
  • ISBN-13: 978-4582454352
  • 発売日: 2007/07
  • 商品の寸法: 19 x 13.6 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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31 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 馬場伸一 トップ500レビュアー
形式:単行本
 戦争を語ることは難しい。殊に、「惨憺たる負け戦」を語ることは難しい。その体験をした人間にとって、そのことを語ること自体が凄まじい苦痛だからだ。だから長く戦争に関する言説は、特定の教条に寄りかかったものか、そうでなくとも過剰な「物語」に依拠したものとならざるを得なかった。

 だが、戦争というものほど「正確に知る」ことが大事なことはほかにない。そして戦争というものは、その時代を体験した人間でないとわからないことに満ちている。戦争を知らない世代であり、しかし戦争の何たるかを知りたいと渇望してきた評者にとって、本書のような「当事者」の公平で客観的な証言は、本当に文字どおり「有り難い」。自己弁護にも卑下にも走らない、正確で客観的な同時代の証言であり、その知的誠実には感動すら覚える。

 もちろん、本書は終戦時に14歳であった筆者が記憶を再構築して語ったものである。だがそれが確固たる客観性を有しているのは、筆者が映画評論家として当時の映画をチェックし、当事者としての自らの思考と感情を再確認していることが大きい。映画は事実とともに、「時代の気分」記録するメディアでもあるのだ。

 また、筆者が多年にわたってアジアの映画作品を日本に紹介する仕事をしてきたことも「客観的にあの戦争を語る」という難事を可能にした要因だと思われる。アジアの民衆の視線(それは必ずしも「反日」一辺倒ではない)を踏まえた省察が、筆者の「語り」に深みと多面性を与えている。

 本書のような良質の「証言」を残してくださった筆者に、後の世代の人間として、深く感謝を捧げたい。
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6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
評者は終戦=敗戦の数十年後に生まれた世代ですが、いわゆる戦争責任を一部の軍部や政治家だけに帰する言説に対して評者が抱いていた違和感を、本書は具体的に解きほぐしてくれました。

本書の内容はなにも戦時中だけにあてはまるものではないと思います。たとえば、現代の日本でもマスコミの世論操作などということが言われますが、マスコミの側が世論に迎合している面も少なからずあるでしょう。「ニワトリとタマゴの関係のようなもので、どっちが先とも言い難い」というのは本書でも述べられているとおりで、だからこそ怖いと言えます。また、日本にかぎらず、中国の文化大革命も権力者と民衆の相互作用により暴走したという点で同じ構造で(比較すると、ヒトラーやスターリンの独裁は、すくなくとも権力の掌握後はトップダウンの色彩がずっと強いでしょう)、「忠臣蔵」により正当化された考え方も忠義の対象を毛沢東思想に変えるだけで、そのまま「造反有理」の論理になります。

開戦記念日というと真珠湾攻撃の12月8日ばかりで、盧溝橋事件の7月7日を忘れている、というのも慧眼だと思います。あと、アメリカは(戦勝後の占領政策も念頭にあったとはいえ)日本映画の研究などによって日本の国民性を知ろうとしたのに対し、日本はどれだけ中国の抗日映画を研究したでしょうか、あるいはアメリカの国民性を知ろうとしたでしょうか、本書で述べられているわけではありませんが、トップダウンの戦略を欠いたということも「草の根の軍国主義」の限界ではなかったかと思います。

「9 大東亜共栄圏のまぼろし」の記述には政治的なにおいを感じないでもないですが、取り上げられている抗日映画や軍国日本を描いた映画を実際に見たわけではないのでなんともいえません。ただ、本書は基本的に戦争当時の著者の視点からの日本の軍国主義を書き記したもので、厳密な歴史書でもなければ社会学書でもない、という点は留意が必要かと思います。
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