茶室に代表される日本的デザインの源流を概説した本を探していて本書に辿り着いた。侘・寂もそうだが、平易な言葉で日本らしさを解説してる本というのは意外と少ない。学術的に知りたいわけでも無いのに、やたら突っ込んだ本ばかりといった印象がある。その点、本書は難解さで詰まると言ったこともなく、サクサクと読めた。一方で、茶室について詳細に知りたいという人には物足りないかもしれない。タイトルは茶室となっているが、実際の内容は茶室を含めた日本的デザインの構造を精神的・文化的側面から論じたものだったように思う。
内容としては、特に目新しいことを書いているわけではない。しかし、日本美の構成要素を丁寧に分解・解説しつつ、そのうま味を現代にどう活かせるかといった観点で書かれているため、非常にわかりやすい。茶室というインテリがかった概念をリアリティを持って現代と繋げているのである。
注意点としては、建築・デザイン史からの引用が非常に多いため、ある程度の予備知識が必要となることである。難解な用語は出てこないが、茶室、建築、プロダクトなど関連トピックのいずれかを軽く押さえた上で読むことをお勧めする。