本書は、NIKKEI NETに連載した「麻生圭子の茶わん眼鏡で見た京都」(平成18年4月14日から平成19年4月13日)を編集し直して1冊にまとめたものです。
京都の町家在住のエッセイスト・麻生圭子さんのこの作品は、茶の湯の嗜みを通して見た京都の歳時記のような雰囲気を持った随筆でした。二十四節気という移り変わる季節を通して京都の風物を大切に綴られたもので、伝統文化の奥深さを知ることができる内容です。
京都に引っ越しした当初のエトランゼ気分のエッセイからは大分変化しており、この作品は岡部伊都子さんの随筆のような趣が感じられ格調の高い仕上がりとなっています。ガイドブックの知識とは一味違う、知っているようで知らない京都の魅力を再発見する切っ掛けになる内容が含まれていました。
本書の内容です。
立春 節分に吉田神社で鬼を見た
雨水 山紫水明、鴨の流れと手をつなぎ
啓蟄 東風吹かば土も目覚め梅花祭
春分 彼岸前、嵯峨の釈迦堂お松明
清明 花篝、桜の下で春酔わん
穀雨 藤の花のような雨、香りを聞いた東福寺
立夏 夏が立ち風匂うわが家の茶室
小満・芒種 音のしずく心の調べは実相院
夏至 昼長し茶わん坂で土を見る
小暑 祇園祭で陰翳礼讃に出会う
大暑 懐石と茶懐石と懐石料理と
立秋・処暑 六道の辻に迎鐘、送り火に秋は来ぬ
白露 鱗雲、井戸のつるべに風の露
秋分 彼岸花、清水寺の水をいただきに
寒露 観月茶会、犬と尺八、瑞峯院
霜降 日々の家事、水屋仕事
立冬 はじめての亭主、母の傘寿の茶会
小雪 鷹峯、紅葉、光悦、常照寺
大雪 錦市場、夫婦で料理の稽古に通う
冬至 太陽が縮みて柚子風呂に入る
小寒・大寒 初釜で学ぶ和の菓子和の心