昨年の九月に急逝した父の遺品としてヴァイオリンが「形見分け」のつもりだろうか,兄の健一郎から,真二の元へ届いた。福岡市の早良区にある実家は酒屋であり,兄は父の跡を継いで4代目である。昨年の春の終わりに実家へ帰郷した際,兄と実家の経営についての酒の勢いもあり,口論となって実家を飛び出した。「もう来んでよか」それが最後に聞いた父の一言となった・・・
上記のヴァイオリンの出生を求めにイギリス,スコットランドを巡る旅を描いた物語である。その旅の中で家族の絆などを再認識するという話であるが,ラストに関して多少ばたばたとしてもう少し余韻を残してくれた方がいいと感じる反面,中盤が少しゆったりしすぎていたような気もする。しかし,思わず涙してしまう場面もあり,人前で読んでいたためこらえるのが大変であった。全般的に読みやすい本でもあり,感動作であることは間違いないのではないかと感じた。